「奇跡のピアノ」沖縄へ いわきの調律師遠藤洋さん修復

2019/12/31 08:38

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沖縄でのコンサートに向け奇跡のピアノを調律する遠藤さん
沖縄でのコンサートに向け奇跡のピアノを調律する遠藤さん

 太平洋戦争で多数の犠牲者が出た沖縄で、命や平和の大切さを広めたい。いわき市の調律師遠藤洋さん(60)は、一月十三日に那覇市で開かれるコンサートに、自身が東日本大震災のがれきの中からよみがえらせた「奇跡のピアノ」を提供する。

 本番に向けて準備することが多く、いつもよりせわしい年の瀬だが、沖縄の人たちの喜ぶ顔を想像すると、音色を調整する手に自然と力が入る。

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 「ぜひ協力していただけませんか」。沖縄のコンサートの関係者から打診を受けたのは、今年春のことだ。津波にのまれたいわき市・豊間中のピアノを修復し、国内外七十カ所の演奏会で大勢の人に感動を与えているとの評判は沖縄にも届いていた。

 「ピアノには関わった人々の気持ちがこもり、聴く人の心を揺さぶる」。十九歳で調律の勉強を始めて以来、約四十年間にわたりピアノに向き合ってきて行き着いた考えだ。

 一九九九(平成十一)年九月に地元企業から豊間中に寄贈されたピアノにも、生徒の青春の思い出が詰まっている。そう確信すればこそ、復興へと向かう地域住民を勇気づけるために、一万点の部品を交換して失われた音を取り戻した。

 命や平和の大切さを広めるとともに、ピアノの復活の物語も知ってもらう。関係者から狙いを聞き、即座にうなずいた。

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 十月に発生した首里城火災は、沖縄を訪れたことがなくても衝撃的だった。ニュースで見た沖縄県民の落胆の表情が、震災後の福島県民の顔に重なった。「奇跡のピアノが紡ぐ音楽を聴いてほしい」。コンサートを成功させたいとの思いがさらに強まった。

 本番前日に那覇市に入り、最終的な調律を施して本番に備える。

 「ピアノが持つ、人を励ます不思議な力で沖縄の皆さんを少しでも元気づけられれば」。そう願っている。


■13日に2回公演 福島県紹介講演も

 演奏会は「いのちよ響け『奇跡のピアノ』沖縄コンサート~『さとうきび畑』とともに~」と銘打ち、那覇市の琉球新報ホールで開かれる。実行委員会の主催、琉球新報社の共催。午後2時からと午後6時半からの2回公演で、それぞれ90分間を予定している。

 洗足学園音大講師の横山歩さん、沖縄県在住のピアニスト大城英明さんらが奇跡のピアノを弾く。

 元ラジオ福島アナウンサーで現在フリーで活動する大和田新さんが午後4時から1時間、ミニ講演を行い、東日本大震災後の福島県の現状を紹介する。

 チケットなどの問い合わせは実行委員会 電話090(1818)8129へ。