東電小早川社長に聞く 第二原発の使用済み核燃料 県外搬出明文化へ

2020/01/09 08:16

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福島第二原発の使用済み核燃料の県外搬出を明文化する考えを示す小早川社長
福島第二原発の使用済み核燃料の県外搬出を明文化する考えを示す小早川社長

 東京電力の小早川智明社長は八日の福島民報社のインタビューで、福島第二原発の廃炉に伴う使用済み核燃料の県外搬出を明文化する考えを明らかにした。小早川社長は内堀雅雄知事に県外搬出を口頭で約束していたが、文章で記録に残す意向を示したのは初めて。時期は未定としたが「今後の計画の中で、どこかの段階で示す」と語った。


 -東京電力福島第一原発の放射性物質トリチウムを含んだ処理水の扱いについて検討する政府の小委員会の議論が、大詰めを迎えている。経済産業省の取りまとめ案には「海洋放出」「大気への水蒸気放出」「海洋放出と水蒸気放出の併用」の三案が盛り込まれた。事故を起こした当事者として処分の方法や開始時期への見解は。

 「処理水の扱いについては科学的な安全性だけではなく、地元の復興や風評対策などさまざまな観点から議論されている。事故の当事者であるわれわれが何らかの判断や提案をする立場にはない。小委員会で専門家に検討してもらい、それを踏まえて国が大きな方向性を示すと考えている。方向性が出てから、しっかりと進めていきたい」

 -処理水の処分を巡り、場所の検討は現時点でなされていない。原発事故の発生後、県民は風評払拭(ふっしょく)のため血のにじむような取り組みを続けている。処分が「福島のみ」で行われたり、「福島から」行われたりすれば、県民にさらなる重荷を背負わせることになる。

 「小委員会で議論、検討されている内容を踏まえ、その後に検討に入る。どういう方法で実施するかを含め、大きな方針が出るまで待っている状況だ。何らかの考え方を提案する段階にはない」

 -事業者として主体的に現段階の考えを述べることはできないのか。

 「処理水の処分の対応については丁寧なプロセスを踏むことが重要だ。国が有識者としっかりと検討、議論しながら大きな方針を示すと考えている。その判断が出るまでは汚染水の発生量を減らして処理し、漏らさないように保管していくことが重要だ」

 -当面、注目すべきは処理水をどこで処分するかだ。これまでの経緯を見ると、処分は海洋なら福島沖ありき、大気なら福島の上空ありきとしか感じられない。本当に安全であればどこでも放出できるはずだ。

 「小委員会で風評対策も含めて議論されている。繰り返しになるが、事故の当事者の立場で処理水の処分について何らかの判断、見解、提案を申し上げる立場にはない」

 -最終的には管理者の東電が判断すべきではないか。

 「国の方針に従い、どう対処していくかが管理者としての責任だ。提案する立場にないと申し上げたのが全て」

 -福島第二原発の廃炉を決定する際、内堀雅雄知事に対し、小早川社長は使用済み核燃料について「遅くとも廃止措置完了までに、なるべく早期に全量を県外搬出する」と伝えた。ただ、文章などには明記されておらず、実効性は担保されていない。

 「内堀知事に廃炉決定を報告した際、県外搬出を明言した。今後の計画の中で、どこかの段階でしっかりと示していく必要があると考えている。だが、現時点でどの段階でそれをできるかは答えられない」

 -廃炉工程表「中長期ロードマップ」の改定で、溶融核燃料(デブリ)取り出しは2号機から始めるなどの内容が盛り込まれた。だが、技術的課題が残っており、工程通り進むかどうかは不透明だ。廃炉完了の目標は「事故発生から三十~四十年後」とされているが、間もなく十年が経過する。

 「改定されたロードマップは今後十年間についての詳細な工程が明記された。工程を延ばした部分もある。トラブルが生じれば地元の復興に影響を与えるため、しっかりとした計画に基づき、段階的に作業を進めていく必要がある。現時点で想定する最終形を示せないのは申し訳ないが、作業の精度を高めていくことが重要だと考えている」