処分場所判断は政府 福島県委員「地元の意見反映を」【復興を問う トリチウム水の行方】(上)

2020/02/07 13:00

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政府への提言を大筋で了承した政府小委員会の会合=1月31日
政府への提言を大筋で了承した政府小委員会の会合=1月31日

 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の扱いを巡り、政府の小委員会は、処分方法として海洋放出の利点を強調する提言を大筋で了承した。具体的な処分場所には触れず、政府に判断を委ねた。処分が本県のみで行われたり、本県から始まったりすれば、風評は一層、強まりかねない。風評払拭(ふっしょく)に総力を挙げてきた関係者から「努力が台無しになる」との声が上がる。被災地に寄り添うと強調してきた政府、東電の姿勢を問う。
 「福島復興と廃炉の両立を果たしていくことが重要。取りまとめが処理水の解決策を導くための一助になるのを期待する」。東京都で一月三十一日に開かれた政府小委員会の会合で、山本一良委員長(名古屋学芸大副学長)が締めくくりの言葉を述べ、三年余に及ぶ議論は終結した。小委員会の提言は処理水の処分方法について、大気への水蒸気放出と海洋放出に絞り込み、「海洋放出の方が確実に実施できる」と強調した。
 しかし、二つの処分方法のどちらを選択すべきかは示さなかった。十七回開かれた会合で放出する場所に関する議論はなされず、提言でも言及しなかった。最終的な判断は政府に委ねる形とし、方針決定に際して幅広い関係者の意見を聞くよう求めた。
 ただ、処理水の保管について、東電福島第一原発敷地外への搬出に否定的な見解が提言に盛り込まれた。法令に準拠した移送設備が必要になるとともに、移送ルートとなる自治体の理解を得る必要があるとし、「相応の準備と多岐にわたる事前調整が必要であり、相当な時間を要する」とした。
 「相当な時間をかければできるということなのか」。提言の表現を巡り、会合で委員の一人が声を上げた。だが、別の委員からの「敷地から放射線の影響があるものを外に出すことは想定していない状況だ」などの指摘にかき消され、敷地外搬出の在り方を探る議論には進展しなかった。
 会合後の記者会見で、山本氏は処理水を放出する場所への見解を問われると、「個人的理解では廃炉の作業はできるだけ福島第一原発敷地内でやるべきで、それが基本だと思っている」と述べた。
 政府は今後、処分の方法や場所を判断するに当たり、関係者から意見を聞く場を設ける方針だ。しかし、具体的な対象者や聴取の形式、回数などは現時点で「白紙」となっている。山本氏の個人的見解が一人歩きすれば、国民的な理解も合意も深まらない。
 会合後、小山良太委員(福島大食農学類教授)は「時期や場所など重要な部分は政治判断となる。現地の意見を絶対に聞くべきだ」と政府にくぎを刺した。