自らの役割を問う(2月9日)

2020/02/09 09:13

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 楢葉町の真言宗豊山派大楽院[ぶざんはだいらくいん]の境内にある集会所は月一回、ヨガ教室に変わった。体操服の男女が独特な呼吸法で、さまざまなポーズを取る。二年ほど前から開かれ、回を重ねるごとに和やかな雰囲気に包まれた。

 心と体の健康を目指し「寺ヨガ」と名付けた。壇信徒[だんしんと]かどうかを問わず、二十代から七十代の十人前後が臨んだ。講師の朗らかな人柄と、一人一人に寄り添った指導が人気を呼び、世代を超えた憩いの場として二十五回を数えた。適度な運動が体調を整え、生活に張りをもたらした。

 住職の酒主[さかぬし]秀寛さんは町の避難指示解除に合わせ、四年半ほど前に古里に戻った。町内で再び暮らし始めた人は震災前の一割に満たなかった。人と人との結び付きをいかに強めるかに心を砕く。護摩供[ごまく]の体験や格闘技教室、たき火イベント…。誰もが気軽に参加できる交流の場づくりを試みた。

 寺ヨガは講師の都合で一月に幕を閉じたが、今後は不定期で催す。生徒は数カ月後の再会を待ち望む。町の再生は少しずつ進み、新しい施設が建ち始めた。町民の六割近くが帰り、以前の日常を取り戻しつつある。酒主さんは、復興に果たす自らの役割を改めて問い掛ける。