口元マスク対話に壁「筆談、身ぶり交えて」 県聴覚障害者協、協力呼び掛け

2020/04/29 09:33

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新型コロナウイルスの感染拡大で聴覚障害者が直面する障壁を訴える吉田さん
新型コロナウイルスの感染拡大で聴覚障害者が直面する障壁を訴える吉田さん

 新型コロナウイルスの感染拡大は、聴覚障害者の生活に影響を及ぼしている。感染予防のためマスク着用が定着し、意思疎通に相手の口の動きや表情を読み取ることが欠かせない聴覚障害者にとって、口元を隠すマスクが生活の障壁になっている。関係者は「マスクで困っている人がいることを知ってほしい」と訴えている。

 県聴覚障害者協会によると、県内で障害者手帳を持つ聴覚障害者は約七千人。このうち、手話を使えるのは一割の七百人程度にとどまる。多くは相手の口の動きや表情、筆談などを基に意思疎通している。

 生まれつき耳が不自由で、手話を使う協会長の吉田正勝さん(62)は、コンビニエンスストアで買い物をした際、マスクをした店員から「温めますか」「ストローは必要ですか」と話し掛けられた。何を言われているか分からず、買い物を終えるまでしばらく時間がかかってしまった。

 マスク着用により、聴覚障害者と手話通訳者の意思疎通にも影響が出ている。手話では、同じ手の動きでも別の意味の単語がある。本来は口の動きや表情で単語を理解するが、マスクによって伝わらないケースが出ている。

 こうした状況を受け、県聴覚障害者協会や県手話通訳士協会など関係四団体は新型コロナウイルス聴覚障害者支援対策県本部を立ち上げた。コミュニケーションを取る際の障害や健常者向け情報発信の課題などを集約し、今後の対策に生かす。

 吉田さんは「感染が拡大する中でマスクは必須。相手に、外してとはとても言えない」とした上で、「話が通じない人がいたら、筆談や身ぶりなど見て分かる方法でやりとりしてもらえると助かる」と協力を求めた。


■遠隔手話サービス開始 テレビ電話機能で医師と患者を仲介

 県聴覚障害者協会は県と連携し、聴覚障害者向け「遠隔手話サービス」を開始した。感染が疑われる聴覚障害者が協会や市町村の手話通訳派遣事業を利用する際、通訳者への二次感染が懸念されるためだ。

 サービスのイメージは【図】の通り。聴覚障害者が医療機関を受診する際、パソコンやスマートフォンなどのテレビ電話機能により、遠隔手話通訳を行う。テレビ電話機能で通訳者側と、医師、聴覚障害者がいる医療機関を結び、症状や治療法などを伝える。