陸上 山下潤(ANA、福島高出身) 東京五輪再起動

2020/05/15 09:18

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東京五輪出場に懸ける覚悟の強さを強調する山下潤=2月
東京五輪出場に懸ける覚悟の強さを強調する山下潤=2月

 陸上男子短距離の山下潤(22)=ANA、福島高出身=が主戦場とする200メートルを始めたのは福大付属中2年生だった2011(平成23)年の秋。「なかなか100メートルで勝てなかった」のが理由だ。10月に福島民報杯県中学校新人大会の200メートルを23秒39で制し、初めて県の頂点に立った。

 福島高2年時の2014年8月、南京ユース五輪で初めて日の丸を付け、五輪を強く意識した。100メートルや父訓史さん(57)=橘高教=、兄航平(25)=ANA、橘高出身=と同じ三段跳びにも挑戦したが、“本命”は3年時の全国高校総体(インターハイ)で2位に入った200メートルだった。

 父、兄と同じ筑波大に進み、「桐の葉」をあしらった伝統のユニホームで戦った。大きな故障もなく着実に力を付け、高校時代の自己ベスト20秒91を0秒5更新した。4年時は主将として仲間をけん引。同じく主将だった東洋大・相沢晃(現旭化成、学法石川高出身)や明大の阿部弘輝(現住友電工、同)らが、駅伝や国際大会で活躍する姿に刺激を受けた。

 4月から兄と同じANAの「社員アスリート」となった。県内屈指の進学校の福島高時代から文武両道を目指し、筑波大でも継続した。「学業や仕事との両立が競技に良い影響を与える」。従来のバランスを崩さないよう、社業にも取り組める会社を選んだ。

 しかし新型コロナウイルスの感染拡大を受け、筑波大の卒業式とANAグループの合同入社式は中止に。「節目の行事がなくなり、環境の変化を受け入れられるか不安だった」と振り返る。感染防止のため出社できてはいないが、今までとは違う新鮮な気持ちで、少しずつ社会人生活に慣れ始めている。

 今年1月、約2年ぶりに地元・福島市に帰省し、福島高陸上部の恩師や卒業生らと会食した。「地元の声援が1番大きい。期待に応えたい」と新たな決意が芽生えた。

 訓史さんや航平と「親子」、「兄弟」として注目されることには「ありがたいが、アスリートの先輩の1人。特別なものは何もない」と笑う。一方で、父と兄が立った五輪には譲れない思いがある。「人生のヤマ場。もしかしたらクライマックスかもしれない」。覚悟を持って1年の猶予期間に臨む。