新型コロナ活動直撃 依存症脱却自助グループ 例会休止相次ぐ

2020/05/17 09:37

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 新型コロナウイルスの影響で、アルコールやギャンブルなど依存症から立ち直ろうとする自助グループの多くが会場確保や感染回避のため、例会などの休止を強いられている。緊急事態宣言の解除を受けて六月には再開の動きが出始める見通しだが、感染対策が課題となる。当事者が悩みを分かち合い、回復を支える場だけに専門家は「治療に向けた生命線」として感染対策に留意した上で早期再開するよう説いている。

 県精神保健福祉センターが把握している県内の自助グループは三十弱あり、月に数回程度、十人前後で集まる例が多い。例会に使う施設の休館や感染防止を理由に三月から休止が増えた。県内各市で活動するギャンブル依存症自助グループの代表の男性は「他者と接点が断たれ、孤立感を深めている人もいるはず。暴力や他の依存症に陥るかもしれない」と不安を募らせる。

 例会に代えてネットに絆を求める人もいる。須賀川市の五十代女性は普段通う県断酒しゃくなげ会須賀川断酒会が休止したため、四月下旬にテレビ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で県外の仲間とオンライン例会を開いた。「アルコール依存症患者にとって飲酒の再開は命に関わる。画面越しでも悩みを語り合うと安心できる」と感じている。

 一方、郡山市を拠点とするギャンブル依存の自助グループは年配者が多く、オンラインでの交流は難しい。例会場の公共施設は休館中だが、宣言解除を受けて六月には使用可能になる見通しだ。代表の女性は「面と向かった方が苦しみを共感できる。施設を使えるようになれば換気や消毒に注意して集まりたい」と再開を目指す。

 県精神保健福祉センターによると、依存症に関する相談件数に目立った変化はないものの、自粛状況が長引けば増加が懸念される。畑哲信所長は「依存症の問題は次第に顕在化すると見込まれ、安心して悩みを打ち明けられる場は必要だ」と自助組織の意義を語る。


■支え合いが不可欠 前田正治氏に聞く

 福島医大災害こころの医学講座の前田正治教授(60)に依存症治療の難しさや自助グループの役割を聞いた。

 -治療の難しさは。

 「アルコール使用障害(アルコール依存症)とは、飲酒により健康上や社会生活上の支障を来すこと。アルコールからの離脱やリハビリは入院で行われるが、退院後も個人の意志だけで断酒を続けるのは容易ではない。自助や支え合いが不可欠になる」

 -自助の取り組みをソーシャルメディアで補うことは可能か。

 「断酒会は高齢化しており、ネット利用に詳しくない人や経済的に苦しい人もいる。工夫してつながりを保ってほしいが、ネットで全て補うのは難しいかもしれない」

 -回復に自助グループが果たす役割は。

 「治療の生命線ともいえる重要な仕組みで自粛の中でも不要不急ではなく『要で急な』活動だ。中止による再飲酒のリスクを考えると、感染防止に留意した上で早く再開すべきだ」

 -外出自粛が長引くと、どんな問題が生じてくるか。

 「大きな問題が二つある。一つは家で長く過ごすことで生活リズムが崩れ、日中の飲酒が増える。もう一つは自粛や失業不安でストレスが強まり飲酒が増えるパターンだ」

 -アルコール以外の依存症については。

 「飲酒と同じく、家で歯止めがかけづらいという意味では若者のゲーム依存も注意すべきだろう」