秋山庄太郎生誕100年(5月24日)

2020/05/24 09:37

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 写真家の故秋山庄太郎さんは生前、福島市の花見山をこよなく愛した。「福島に桃源郷あり」と称賛し、全国にその名を広めた。二〇〇一(平成十三)年に市から、ふるさと栄誉賞を受けた際、返礼として百二十点の作品を寄せた。

  九年前の震災で、収蔵していた市写真美術館「花の写真館」は壁の一部が崩れた。しばらくして、作品にカビや傷み、汚れなどが確認された。空調設備が止まり、保存状態が悪かったことが原因とみられる。施設の再オープンに向け今春、ようやく工事が動き出した。

 秋山さんは風景や花の写真で知られるが、もともとは人物が専門だった。たばこをくゆらせる文豪が鋭い眼光を放てば、往年の美女は柔和な表情を浮かべる。寄贈作品の中には、昭和を代表する政治家や作家、銀幕を華やかに彩った俳優の懐かしい顔ぶれがそろう。

 美しいものに接すると、心が和む。息苦しさを感じる時世では、なおさらだ。「美しきもの 心やさしく」。この信念の下、生涯にわたり、ファインダー越しに美を追い求めた秋山さんは六月八日、生誕百年を迎える。ファンは一日も早い写真館の再開を願う。一枚一枚が、時代を超えて輝き続けるために。