【新型コロナ オンライン診療】実績積み、定着を(5月30日)

2020/05/30 08:32

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 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、時限措置として全国で初診から可能になっているオンライン診療について、政府は恒久化に向けた議論を始めた。全国で認めるか、特区限定で認めるかなどを含めて年内をめどに具体策をまとめる。感染防止だけでなく、地域医療を支える有効な手だてになる可能性がある。福島県でも利点や課題を洗い出し、定着させるべきだ。

 オンライン診療は、スマートフォンやタブレット端末などを通じて患者を診察する仕組みで、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病、難病などの一部の患者、緊急の診療が必要な場合を対象に行われてきた。初診は原則として認められていなかったが、新型コロナによる医療崩壊を防ぐため、感染拡大が収まるまでの時限措置として解禁された。処方薬も配送で受け取れるようになった。

 県によると、県内では五月十二日現在、診療所百二十六、病院四十六の合わせて百七十二の医療機関で導入している。このうち、初診からは診療所三十二、病院六の計三十八医療機関となっている。県内で感染者が確認される前の三月一日時点では、厚生労働省東北厚生局にオンライン診療の届け出をしていたのは十三医療機関しかなく、感染拡大を契機に飛躍的に増えた。

 ただ、利用実績のデータはまとまっておらず、どれだけ利用されているかは分からない。会津地方のある診療所は初診からの態勢を整えたが、再診を含めて利用はゼロだという。診療所の医師は、医療機関側と患者双方の感染リスクを減らす効果や受診の仕組みが周知されていないのが一因とみている。高齢者の多くは通信機器を持っていなかったり、使えなかったりする点も課題に挙げる。

 実施医療機関は、身近な「かかりつけ医」に問い合わせれば分かる。かかりつけ医がいない場合は厚労省のホームページや県の「ふくしま医療情報ネット」で確認できるが、市町村が広報紙などを通じて、管内の実施医療機関や受診方法などを知らせてはどうか。高齢者への普及には家族の支えが必要で、住民全体への啓発も欠かせない。

 特に中山間地域は公共交通機関が少なく、医療機関を受診するには時間がかかる。人口減少と少子高齢化が進む中、仮に通院は三カ月に一度、その他の月はオンライン診療に切り替えられれば、患者はもちろん、家族らの負担も減らせる。地域の実情に合った方策を探るためには、終息後を見据えた実績の積み上げが求められる。(紺野 正人)