政府の対応「不十分」 17市町村議会、意見書可決 処理水

2020/06/25 08:22

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 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、県内五十九市町村議会のうち十七市町村議会が今年に入り、処分方針に関する意見書や決議を可決した。処理水を巡る政府の対応が十分ではないとして、海洋放出への反対や風評対策の充実・強化を訴えている。政府による最終的な方針決定に、住民の声を反映させようとする姿勢が鮮明となった。


■海洋放出反対、風評対策訴え 民報社アンケート

 福島民報社は十八日から二十四日までに県内五十九市町村議会を対象にアンケートを実施した。処理水の処分方針に関する意見書や決議の可決状況は【表】の通り。県内各地の十七市町村が可決した。浪江町は海洋放出への反対を決議し、西郷村と三春町は意見書に大気や海洋への放出の反対を明記した。多くの市町村が地上タンクでの長期保管や新たな風評を防ぐため対策の拡充・強化を訴えている。

 南相馬、伊達の二市は意見書の提出を求める請願の審議を継続し、十一市町村は意見書などを「今後、審議する予定」としている。可決した十七市町村と合わせて半数超となる三十市町村が議会としての意思を明確化する方向だ。

 処理水の処分方法を検討してきた有識者らによる政府小委員会は二月、大気への水蒸気放出と海洋放出を「現実的な選択肢」とした上で、監視体制構築など技術的な面から「海洋放出の方がより確実に実施できる」と政府に提言した。これを受け県内の市町村議会では三月や六月の定例会で処理水の処分方針に関する意見書や決議の可決が相次いでいる。

 東電は福島第一原発敷地内で処理水を保管するタンクの容量が二〇二二(令和四)年夏ごろに限界を迎えるとの試算を示し、原子力規制委員会は放出準備に二年程度要すると指摘している。このため、今夏ごろが方針決定の期限との見方が広がり、関係閣僚らは「先送りはできない」と繰り返し発言している。

 小委は政府への提言で「幅広い関係者の意見を丁寧に聞く」ことを方針決定の前提とした。政府は三十日に都内で四回目となる意見聴取会を開く予定で、七月十五日まで一般国民からの意見も募っている。

 市町村議会による意見書や決議について、政府関係者は「貴重な意見なので内容を精査して方針決定の参考にしたい」としている。ただ、政府は意見を方針決定にどのような形で反映するかを明らかにしておらず、今後の対応が注目される。