避難12市町村で広域農業 農水省、初の構想策定

2020/07/08 08:00

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 農林水産省は東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定された十二市町村の枠を超え、農畜産物の大規模産地化を促す営農構想を初めて策定した。平野部や中山間地域ごとに栽培・飼育に適した農畜産物を提案し、収益性の高い商品の生産につなげる。市町村が共同利用できる営農拠点施設を地域ごとに設ける方向で検討する。農産物の生産から加工・出荷まで一貫した態勢を整え、事業者の参入や担い手確保を図り、営農再開を加速させる。


 農水省が十二市町村全域の農業将来像をまとめた「高付加価値産地構想」を七日、公表した。原子力災害被災地域に関し、広域農業の在り方を示すのは初めて。構想のイメージは【図】の通り。

 十二市町村全域でコメを栽培し、JAなどが安定的な需要が見込めるパックご飯の製造業者と連携して販路確保につなげる。

 平野部では年間を通じ比較的温暖な気候を生かし、タマネギやブロッコリー、サツマイモなどの生産に重点を置く。民間事業者が皮むきやカット、冷凍加工などを施し業務用として通年出荷する。

 阿武隈高地が広がる中山間地域では、花卉(かき)栽培や肉用牛肥育、酪農などを推奨していく。一台のトラックによる商品の共同輸送、ICT(情報通信技術)導入などにより省力化と低コスト化を図る。

 農水省によると、構想で提案した農畜産物は近年、全国的に需要が高まっており付加価値が高いという。大規模生産により安定した数量の出荷が可能となり、販路拡大がしやすくなる。

 広域的な営農計画の策定は、市町村やJA、民間事業者らが共同で進める。農水省は今年度、現地での食品加工・出荷に関心を持つ事業者と市町村などとのマッチングを図り、計画の具体化を支援する。二〇二一(令和三)年度以降は加工・出荷などの拠点施設の整備を進める方針。

 県は今年度末までの復興・創生期間後も農業再生に向けた十分な財源措置を求めており、農水省は施設整備に関する予算確保に向けて関係省庁と調整していく。