米国人の戦争体験本に ホスピスで語られた記憶

2020/07/27 12:12

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音楽療法士の佐藤由美子さんが出版した本
音楽療法士の佐藤由美子さんが出版した本

 福島市生まれの米国認定音楽療法士、佐藤由美子さん(43)が「戦争の歌がきこえる」を今月、出版した。米国のホスピスで働く中、第二次世界大戦を生き抜いた終末期の患者、家族が語った戦争体験の記憶をつづった。佐藤さんは「私が受け取った言葉を一人でも多くの人に届けたい」と話し、国籍の異なる人の記憶にも耳を傾け、大戦を見つめ直す大切さを伝える。

 多くの戦争体験者は、戦後、つらい出来事を語らないできた。米国人も同じ。死を目前にして日本人と出会い、歌や楽器による療法が記憶をよみがえらせた。本書に登場するのは、日本兵を殺したことを告白した退役軍人、フィリピンで日本兵に親友を殺され、その後、広島で焼け野原を見た男性、罪悪感に悩まされ続けた原爆開発の関係者ら。佐藤さんは複雑な感情にも寄り添った。

 徴兵された国見町の亡き祖父についても取り上げた。それぞれの回想を補うため、さまざまな資料を調べたり、戦争の舞台になった国を訪れたりして、大戦の全体像にも迫った。

 柏書房、千八百七十円。

 米国の大学院音楽科を卒業。現地のホスピスで十年間、音楽療法を実践。帰国後も携わり、講演活動も行う。現在は米国在住。他の著書に「ラスト・ソング」「死に逝く人は何を想うのか」(いずれもポプラ社)がある。