【小高区解除4年】復興への議論深めたい(8月4日)

2020/08/04 08:50

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

 東京電力福島第一原発事故に伴う南相馬市小高区への避難指示が解除されてから四年が経過した。今年六月末現在の居住人口は三千七百五十人で、事故前の三割弱となっている。来年、東日本大震災と原発事故から十年と、避難指示解除から五年という節目を迎えるのを前に、市と住民は今後の復興の方向性について議論を深めるべきだ。

 小高区の事故前の住民登録者数は一万二千八百四十二人だった。解除後一年の二〇一七(平成二十九)年六月末に二千八人、二〇一八年六月末に二千八百三十二人、二〇一九年六月末に三千五百九十九人と、一年間に七百~八百人前後増えていた。ただ、この一年の伸びは百五十一人で、鈍化している。帰還のピークは過ぎたとみられ、居住者全体に占める六十五歳以上の割合は50%前後。急激な人口の増加がなければ、いずれ減少に転じる可能性が高い。

 市は交流施設や商業施設など生活基盤の整備は、ある程度進んだとの見方を示す。一方で、居住人口を増やすためには首都圏などから人を呼び込むだけでなく、小高区出身者ら、ゆかりのある人たちに定住を促すような支援策に力を入れる必要がある。住民登録をしていても、子どもの学校や仕事の関係で帰還に二の足を踏んでいる人も少なくないだろう。子育てを終え、定年退職したシニア世代に照準を合わせ、古里に住むようPRするのも有効だと考える。

 さらに、現在暮らすお年寄りらを地域から孤立させないよう絆を取り戻すことに重点を置いた取り組みも欠かせない。小高区出身で同市のNPO法人はらまちクラブ理事長の江本節子さんは「戻った人同士がつながりを持ち、幸せに笑って暮らせるような社会が理想だ」と訴える。

 江本さんは、沿岸部にあり、現在使われていない福浦小を宿泊もできる交流拠点施設として活用することを提案する。住民同士が趣味やサークル活動などを通して触れ合いを深め、お盆や正月に市外に住む人も含め親戚同士の集まりや同級会を開く-。福浦小出身の陸上選手今井正人さんにちなんだマラソンコースを設ける構想も描いている。

 居住人口三千七百五十人のうち、事故前に住んでいた人が三千百六人、事故後に住み始めた人が六百四十四人となっている。新旧の住民が意思の疎通を図り、復興に向けて力を合わせることが何より重要だ。官民だけでなく、産学も加えたまちづくり会議のような組織をつくり、小高区の将来を議論する機会を設けてほしい。(風間洋)