【マイ避難ノート】個々に応じた行動を(8月31日)

2020/08/31 08:51

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 県は水害から県民の命を守るため、避難時の注意点をまとめた冊子「ふくしまマイ避難ノート」を作成し、市町村を通じて県内全世帯への配布を始めた。昨年十月の台風19号と記録的大雨を教訓に、迅速な避難行動に結び付けるのが目的だ。より多くの県民に冊子の活用を促したい。

 冊子では、警戒レベルに応じて取るべき行動や、浸水や土砂災害の危険性が高い区域を示すハザードマップの見方、非常時に持ち出す防災用品などを説明している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、避難所での感染症対策も盛り込んだ。特筆すべきは、「マイ避難シート」として、ハザードマップで自宅の災害リスクを確認し、避難するタイミングや場所、手段、持ち物などを書き込む欄を設けた点だ。

 台風19号と記録的大雨で被災した十三市町の避難住民に対する県の調査では、避難した理由について「雨の降り方が激しく身の危険を感じたから」が42・6%と最も多く、危険が迫ってから避難する傾向が浮き彫りとなった。自らの避難の流れをあらかじめ冊子に記しておけば、慌てることなく避難に向けた行動が取りやすくなる。

 冊子は、九月中旬までに市町村の広報紙に同封して各世帯に配布される。住民への活用を促すには、一緒にハザードマップを配ったり、避難所を知らせたりする必要がある。浸水や土砂災害の危険性が高い区域に暮らす住民に対してはなおさらだ。

 ハザードマップや避難所などの情報は市町村のホームページなどに掲載されているが、パソコンやスマホに不慣れな高齢者は少なくない。台風19号と記録的大雨で犠牲になった県内の三十二人のうち、六十五歳以上が二十一人と全体の三分の二を占めたことを踏まえれば、高齢者への丁寧な周知は欠かせない。新型コロナの影響で、一つの会場に大勢が集まるのは難しいだろうが、避難行動の在り方や冊子の記入方法などを学ぶ機会を設けるべきだろう。

 実際に避難する事態となった場合、冊子が生かされたかどうかの検証も求められる。避難所に持参した人を把握するとともに、住民の声に耳を傾けることで、さらなる改善に役立つはずだ。

 各地で「数十年に一度の大雨」が頻繁に発生している。これまでの防災の常識は通用しなくなりつつある。身を守るためにはどうすればいいのか-。本格的な台風シーズンを迎える中、県民一人一人が暮らしに応じた避難行動を心掛けたい。(紺野 正人)