【中学校スマホ容認】慎重な対応が必要だ(9月19日)

2020/09/19 09:20

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 文部科学省は中学生のスマートフォンについて学校への持ち込みを条件付きで認める方針を決め、八月までに全国に通知した。自然災害や事件発生時に、子どもの安否確認に使いたいという保護者の声に応えた。福島県内の市町村教委や各学校は持ち込みの是非を含めて対応を慎重に検討し、認めるなら校内での管理や生徒指導を徹底すべきだ。

 スマホの持ち込みは、遠距離通学などを理由に申請した場合に例外的に認められてきた。今回は持ち込みを原則禁止とする方針は維持した上で、(1)学校、生徒、保護者が協力してルールをつくる(2)校内での管理方法や紛失時の責任を明確にする(3)保護者がフィルタリングを設定する(4)正しい使い方を指導する-の四条件が整えば認めるとした。

 内閣府の二〇一七(平成二十九)年度全国調査によると、中学生のスマホ・携帯電話の利用率は66・7%で、上昇傾向にある。部活動や塾通いで帰宅が遅くなる生徒がいる。地震や豪雨災害、不審者による声かけ事案などが起きた際の緊急連絡に役立つ点を考えれば、容認は理解できる。

 ルールづくりでは、学校任せにせず、保護者と生徒が積極的に関与することが大事だ。学校側は、スマホを使ってもいい場所や時間帯、保管方法などを生徒が主体的に議論する機会を設けてほしい。当事者が納得して規律を定めることが実効性を高める。

 持ち込みを認めた場合、登下校時にスマホを使う時間が増えると予想され、生徒への悪影響には注意が必要だ。県教育センターが昨年、県内全公立学校を対象に実施した情報教育調査では、中学校の58・3%が「会員制交流サイト(SNS)利用を巡って生徒間で言葉によるいじめなどのトラブルが起きた」と答えた。また、中学校の36・2%が「SNSで画像掲載などのトラブルがあった」とした。

 犯罪に巻き込まれる心配もある。県警本部によると、昨年一年間にネットを通じて「深夜の連れ出し」や「みだらな行為」などの被害に遭った県内の十八歳未満の少年少女は三十四人で、前年から十三人増えた。ネット上での人権侵害の恐れや犯罪被害に遭う危険性、スマホ依存などの問題について、各学校は生徒や保護者への注意喚起に一層力を入れる必要がある。

 高価なスマホの端末は親の負担が大きい。経済的な事情や教育方針で子どもにスマホを持たせないという親もいるだろう。学校は、持っていない子どもが引け目を感じることのないよう目配りを忘れないでほしい。(斎藤 靖)