学ぶ喜び(9月21日)

2020/09/21 09:53

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 今年七十八歳になった福島市の女性は、週に一度開かれる自主夜間中学を楽しみに待つ。数日前からワクワクし、当日は朝から落ち着かない。子どもに戻ったような気がする。

 市民有志が十年前から、さまざまな事情で満足に勉強できなかった人に、学びの場を提供している。講師の顔ぶれは、元教師や元官僚、農家、主婦と多彩だ。教室の予約から教科書の準備まで、運営は手弁当でまかなう。「生徒が主役」を掲げ、意欲のある人に手を差し伸べる。

 女性は十代の頃、家庭環境から思うように学習できない時期があった。「いつか空白の時を埋めたい」と願い続けてきた。自主夜間中学に出会い、長年の夢がかなった。生徒みんなで言葉を寄せ合って作詞した校歌がお気に入りだ。♪ともに学ぼう 永遠[とわ]に歌おう-。年の違う同級生と一緒に口ずさみ、青春を取り戻す。

 コロナの災禍で休講を余儀なくされたが、再び教室ににぎわいが戻り、幸せをかみしめる。授業で歴史の知識が深まるにつれ、時代劇が以前より面白くなった。世の中の動きや身の回りの出来事に関心を持ち始め、見える景色が変わった。きょう二十一日は敬老の日。学びは人生を豊かにする。