【小学校の教科担任】「児童のため」を念頭に(9月22日)

2020/09/22 09:10

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 教科ごとに指導教員が替わる「教科担任制」が、二〇二二(令和四)年度をめどに小学五、六年生の授業に本格導入される見通しとなった。文部科学大臣の諮問を受け、教育の在り方を協議している中央教育審議会特別部会が、答申の中間まとめ骨子案に盛り込んだ。導入対象に英語、算数、理科の三教科を例示した。今年度中に正式に答申する。まずは児童の学習環境の向上を念頭に進めてもらいたい。

 小学校は一人が一つのクラスを受け持ち、全教科を教える「学級担任制」を基本としている。児童の学校生活に長く、深く関わることで、学習だけでなく生活や性格など、さまざまな面を把握でき、社会性を身に付けるための指導がしやすいと言われる。

 一方で、専門性の高い教科を中心に、教科担任制は自然発生的に増えている。文科省の二〇一八(平成三十)年度の調査では、全国の公立小のうち、音楽で55・6%、理科で47・8%が六年生に教科担任を配置している。

 骨子案は「教科担任制により、授業の質の向上を図り、学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図ることが重要」と導入を求めた。教科担任の場合、一度の準備で複数の授業ができ、教員の負担軽減も期待できる。生まれた余裕を教材研究に費やせば、より良い授業につながる。部分的な導入は、学級担任がしっかり見守る体制を生かしつつ、複数の教員による多面的な児童理解を可能にする。

 本県では二〇一七年度から三カ年、十四校をパイロット校に指定し、国語、算数、理科、社会の主要四教科で教科担任制を試験導入した。このうち十二校で、期間中の全国学力・学習状況調査の成績が向上した。県教委は、算数を中心に定期的に実施した授業研究会や専門性を生かすための教員相互の学び合いが役立ったと分析している。

 教科担任制の効果を引き出すには、教員の増員が望ましい。教科によって授業時数が違うため、単純には担当教科を割り振れない。時数の多い教科担当者の負担が大きくなり、定められた教員定数の中で完結するのは難しい。県教委は試験導入に当たり、パイロット校に教員を定数より一人多く配置して対応した。

 導入の制度化に向け、適正な教員定数に議論を尽くしてほしい。小規模校は、人のやりくりで現場が疲弊しかねない。教科によって、複数校を担当する教員の配置など、柔軟な措置が必要ではないか。積極的に人材を確保し、児童にも教員にも有益な制度にするよう願う。(鈴木俊哉)