政府が処分方針近く判断 第一原発処理水 全漁連「海洋放出絶対反対」

2020/10/09 08:33

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 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の扱いを巡り、政府は近く処分方針を判断する方向で最終調整に入った。八日、処分方針決定に向けた第七回意見聴取会を都内で開き、全国漁業協同組合連合会(全漁連)と県水産加工業連合会が漁業などに深刻な影響が出るとして海洋放出反対を訴えた。政府関係者によると、今回で主要関係者への聞き取りをほぼ終えたとしており、政府は関係省庁間の協議を経て結論を出す見通しだ。

 意見聴取会の座長を務める江島潔経済産業副大臣兼原子力災害現地対策本部長は会終了後、四月から計七回にわたって開かれた会合を振り返り、「今回を含め、福島県をはじめ地元自治体や農林水産団体、漁業者、経済団体など合計二十九団体の四十三人の参加を得た」と総括した。

 その上で、「可及的速やかに、政府としての判断を出さなければならない」と早期の処分方針決定を示唆した。政府関係者によると、今回が処分方針決定前の最後の会合になるとしている。

 処理水の処分方針決定を巡っては、先月二十五日に来県した梶山弘志経産相が「早急に処分方針を決定する必要があるが、意見を伺いたい関係者がまだ残る」として、全漁連から意見を聞く意向を示していた。海洋放出する場合、重要な利害関係者となるため、政府は全漁連への参加要請を続けてきた経緯がある。今回で、処分方針決定の前提となる主要な関係者の意見聴取を終えたとみられる。

 菅義偉首相は先月二十六日、福島第一原発で処理水のタンクを視察し、「できるだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」と自らの政権での処分方針決定を強調した。

 東電は原発敷地内で処理水をためるタンクが二〇二二(令和四)年夏ごろに満杯になると試算。放出準備に約二年かかるとされ、逆算すると今夏から秋にかけてが政府による判断の期限との見方が強まっていた。

 県内では処理水の処分が福島県のみで行われたり、福島県から始まったりすれば風評がさらに強まりかねないとの懸念が強い。

 聴取会に出席した全漁連の岸宏会長は海洋放出について「風評被害の発生は必須。わが国の漁業の将来に壊滅的な影響を与えかねない。漁業者の総意として絶対反対だ」と厳しい表情で断言した。

 全漁連は六月の通常総会で「海洋放出に断固反対」とする特別決議を全会一致で採択している。「(風評被害対策に取り組んできた)今までの漁業者の努力が水泡に帰す。諸外国の輸入規制が再び強化される懸念がある」と政府に慎重な判断を求めている。

 県内の市場仲買人らで組織する県水産加工業連合会の小野利仁代表はオンラインで参加し、「海洋放出には断固反対する」と言い切り、「海洋放出されれば風評は再燃する。当たり前の商売をさせてほしい。環境づくりを一日も早くお願いしたい」と訴えた。