海洋放出改めて反対 全漁連 復興相「理解得る中で解決」

2020/10/17 08:37

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平沢復興相に要請書を手渡す岸全漁連会長(左から2人目)。左は野崎県漁連会長
平沢復興相に要請書を手渡す岸全漁連会長(左から2人目)。左は野崎県漁連会長

 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水を巡り、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長と野崎哲県漁連会長は十六日、有力視される海洋放出に反対する要請書を平沢勝栄復興相(福島高出身)に提出し、慎重な判断を求めた。平沢氏は「どのような処分方法でも風評被害は起こりかねない」とした上で、「国民や漁業関係者の理解を得る中で(風評被害を)解決していきたい」との考えを示した。

 岸会長は「海洋放出による風評被害は必至で、取り返しのつかないような影響が懸念される。漁業者の復興に向けた思いが挫折することがないようにしてほしい」と訴えた。同日、野上浩太郎農林水産相にも要請した。

 要請後、報道陣の取材に応じた野崎会長は「福島の漁業者が処理水の海洋放出に反対だという思いは変わらない」と強調した。

 政府は今月下旬にも海洋放出を軸に処分方法を決定する方向で最終調整している。全漁連は十五、十六の両日、関係閣僚に海洋放出の反対を申し入れた。


■「風評懸念は当然」関係閣僚

 野上浩太郎農相は十六日の閣議後記者会見で「(漁業者が)海洋放出された場合の風評被害を懸念する気持ちは当然のことだ」と理解を示した上で、「復興に向けた漁業者の努力を妨げないことを最優先に処理方法や風評被害対策を検討したい」との意向を明らかにした。

 梶山弘志経済産業相は同日の記者会見で「(処理水を保管する)敷地が逼迫(ひっぱく)する中、その水量が日々増加していることを踏まえれば、いつまでも方針を決めずに先送りすることはできない」とあらためて強調。「(政府の処理方針の)決定前後を問わずに風評被害が起これば、すぐに徹底的に対応する」と述べた。

 加藤勝信官房長官は同日の記者会見で「廃炉作業を遅延させないためにも方針を決めずに先送りはできない」として、「政府内での検討を深めた上で、適切なタイミングで政府の責任を持って結論を出したい」と語った。


■海洋放出へ断固反対姿勢を確認 いわき市漁協

 いわき市漁協は十六日、いわき市の県水産会館で臨時理事会を開き、東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分方法について、海洋放出に反対の姿勢を貫いていくことを確認した。

 臨時理事会は非公開で開催された。江川章組合長によると理事十八人が出席した。政府が今月下旬にも海洋放出を軸に処理水の処分方針を決定する方向になったという報道を受け、改めて海洋放出に断固反対していくことを誓い合ったという。

 江川組合長は臨時理事会終了後、報道陣の取材に応じ「現場の漁業者らの意見をしっかりと聞いた上で処分方法を検討してほしい」と話した。