処分方針明示せず 処理水で経産副大臣 風評対策は不透明

2020/10/17 08:38

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 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分について、政府は月内の処分方針決定に向け最終調整に入っているが、政府原子力災害現地対策本部長を務める江島潔経済産業副大臣(自民、参院山口県選挙区)は十六日、「決まりましたとはまだ言えない。今、最終的な詰めをしている段階」として処分方針案については明らかにしなかった。処理水の処分に伴う風評について「十二分に想定される」との認識を示したが、具体的な対策は示さなかった。政府は二十七日にも廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議を開き、処分方針を決定する見通し。

 江島副大臣は福島民報社のインタビューに応じ、処分方針決定の時期や放出場所について、「可及的速やかに判断していく」と述べた。政府は海洋放出を軸に調整しているが、福島第一原発敷地からの放出について「決定していない」と述べるにとどめた。

 処理水の処分に伴う風評については「風評は何らかの形で発生することが十二分に想定されるが、今の段階でどのような風評がどれくらいの期間にわたって出るかは予測もつかない。政府として責任を持って取り組む」とした。処分方針決定と同時に具体的な風評対策は打ち出せないとの考えを示した。

 トリチウムについては「(多くの国民にとって)なじみがないだろう」としたが、国民理解の醸成に向けた具体的な対応策は示さなかった。

 全国漁業協同組合連合会(全漁連)や県漁連が海洋放出に反対していることには、「重く受け止めている」と述べたが、「処理水をどのように解消していくかを判断する時期が差し迫っているのも事実。政府として責任を持って(処分方針を)判断しなければならない」と述べた。


■海洋放出時のトリチウム濃度 国基準40分の1に希釈 政府調整

 政府は東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水を海洋放出する場合のトリチウム濃度について、国の規制基準の四十分の一まで希釈する方向で調整に入った。

 原子力規制委員会が定めるトリチウムの環境放出規制基準は一リットル当たり六万ベクレル未満。政府は風評への影響を最大限抑制するため、この規制基準の四十分の一となる一リットル当たり一五〇〇ベクレル未満まで希釈する方針だ。この基準は、東電福島第一原発の建屋周辺にあるサブドレン(井戸)から地下水をくみ上げ、浄化後に海洋放出しているのと同じ水準となる。

 処理水に残るトリチウム以外の放射性物質についてはそれぞれ規制基準を下回るまで処理を徹底する考えだ。

 双葉、大熊両町に十六日までに処分方針の考え方を説明した。


■福島県での処理水処分風評に強い懸念

 県内では処理水の処分が福島県のみで行われたり、福島県から始まったりすれば風評がさらに強まりかねないとの懸念が強い。

 処理水を巡っては今年に入り、これまで県内の四十四市町村議会が処分方針に関する決議や意見書を可決している。

 このうち、浪江町は海洋放出への反対を決議。東京電力福島第一原発が立地する双葉町や大熊町などは意見書で早期の処分方針決定を求めている。