富岡・王塚地区に伝わる神楽 11月、10年ぶり復活

2020/10/26 09:53

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11月の竣工祭で披露するため神楽の練習に取り組む氏子ら
11月の竣工祭で披露するため神楽の練習に取り組む氏子ら

 富岡町の王塚地区に伝わる神楽が十一月に約十年ぶりに復活する。東京電力福島第一原発事故で途絶えていたが、再建工事が進められていた王塚神社の社殿の完成に合わせ奉納する。氏子らは祖父や父が守り育ててきた神楽を受け継いでいきたいと決意している。

 神楽は昭和三十年代に氏子の若手が中心になって始め、王塚神社の春と秋の祭礼などで奉納してきた。正月には一年間の無病息災や家内安全を願って地区内の家々で神楽を披露し、住民の絆をつなぐ行事として地区に根付いてきた。

 二〇一一(平成二十三)年三月十一日、二日後に予定されていた春の祭礼の準備中に東日本大震災が発生。氏子らは原発事故による避難生活で離れ離れになり、神楽はいったん途絶えた。二〇一七(平成二十九)年四月に地区の避難指示が解除。氏子らが話し合い、傷みが激しかった王塚神社の社殿再建に合わせ神楽の復活を決めた。

 原発事故後初の稽古は二十五日、町内の王塚集会所で行われ、町内やいわき市から氏子ら約二十人が参加した。四十代から六十代までの氏子が鈴舞など四種類の舞を練習し、笛や太鼓のリズムや舞の動作などを確認した。四十年前から舞を担当している渡辺伸さん(60)は「久しぶりで不安はあったが、動作は体に染み付いていた。年齢的にきつい部分はあるが、本番にしっかり備えたい」と語った。

 神楽は十一月二十九日に行われる神社の竣工祭で奉納する。原発事故前は四百世帯だった住民も帰還したのは数十世帯ほど。氏子責任総代長の猪狩弘道さん(77)は「若手の参加を促しながら、来年以降も神楽を継承し、地区を盛り上げていきたい」と誓った。