【廃炉の現場】(1)第1部デブリ取り出し 2号機迫る期限 工法手探り続く

2020/11/02 09:37

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 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水を巡り、政府は海洋放出を軸に最終調整しており、処分方針決定が大詰めを迎えている。政府と東電が処分方針の決定を急ぐ背景には、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出した後の保管場所の確保が必要で、処理水の保管タンクとの兼ね合いがあるとみられる。だが、デブリ取り出しには課題が山積しており、道筋は見通せていない。廃炉の現場を追う。

 九月十六日から三日間、オンラインで開かれた日本原子力学会「秋の大会」。

 東京電力福島第一原発の廃炉の技術開発を担う国際廃炉研究開発機構(IRID)の担当者は、2号機のデブリの取り出し工法について説明した。「工法を比較検討しながら、技術開発を続けていく」。いまだ決定的な取り出し方法を見いだせていない焦燥感がにじむ。

 東電は廃炉の最難関とされるデブリ取り出しを来年、2号機で始める計画だ。廃炉工程表の中長期ロードマップの最終段階「第三期」へ移行する大きな節目となる。

 廃炉作業はこの十年、なかなか下がらない放射線量、増え続ける汚染水など、幾度となく障壁にぶち当たってきた。その度にスケジュールが遅れても、デブリ取り出し時期だけは堅持されてきた。

 今年もあと二カ月を切り、来年のデブリ取り出し期限が迫る。県原子力安全対策課は「工程表にある以上、確実に廃炉を進めるのが、県民と東電の約束だ」とくぎを刺す。


■試金石

 東電などは当初、炉心溶融(メルトダウン)が起きた米国のスリーマイルアイランド原発で用いられた容器を水で満たす「冠水工法」を採る予定だった。取り出し作業で想定される粉じん飛散を防ぐためだ。

 二〇一一(平成二十三)年三月の原発事故で1~3号機のうち、2号機は水素爆発を起こさなかった。しかし、2号機は電源喪失により格納容器内の圧力が上昇し、内部の一部に損傷ができ、容器全体を水で満たすのは困難とされた。そのため、冠水工法を見送らざるを得なかった。そこで、デブリ周辺だけを水に漬け、空気中で取り出す「気中工法」を採用した。その検討には六年の歳月を要した。

 世界でも例がなく、国内外の原発関係者は廃炉作業の「試金石」になると注目する。

 「立地町の大熊町で帰還が始まった今、粉じん飛散防止が避けては通れない。気中工法に行き着くのに時間がかかったのは仕方ない」。資源エネルギー庁の担当者は語る。


■粉じん

 二〇一三年八月、3号機のがれき撤去作業で放射性物質を含んだ粉じんが飛散した。最近では1号機の内部調査のルート設置で、大量の粉じんが飛散し、計画が大幅に遅れた。

 2号機の取り出しは、アームの先端部に付けたブラシでデブリを集めたり、吸引したりして一グラム程度ずつ、段階的に増やす計画だ。新たに、粉じんの飛散防止策としてデブリ周辺の水位を調節したり、水を掛け流したりしなければならない。将来的には、どれだけ飛散が起きるかといった試算が欠かせない上、外部に漏れさせないための空調設備の開発も必要になる。

 「デブリの塊をどうやって削るのか。新たな技術開発に期待している」。東電の担当者は出口が全く見えない不安を口にした。