除染完了、半数止まり 福島県内農業用ため池 冬場に作業集中業者確保できず

2020/11/24 08:18

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 東京電力福島第一原発事故に伴う農業用ため池の除染で、対象となる県内二十七市町村、九百九十三カ所のうち、除染が完了したのは九月末現在、十二市町村の五百十一カ所で半数程度にとどまる。除染は営農でため池の水が使われていない冬場に限られ、その間に作業を実施する建設業者を確保できないからだ。農林水産省が完了目標としてきた二〇二〇(令和二)年度の復興・創生期間内は困難な見通しで、市町村からは早急な対応を求める声が上がる。

 県によると、県内には九月末現在、五十六市町村に四千六十五カ所のため池がある。このうち、農水省のマニュアルに基づき、指定廃棄物に該当する一キロ当たり八〇〇〇ベクレル超の放射性セシウムがため池の底土で確認された箇所を対象に、市町村が除染を進めている。

 市町村は県の通知に基づき、対策が未実施なため池の水を農作業に使う際、表層からくみ上げるなどして安全性を確保している。

 営農を再開している地域では、ため池の水を使わない九月から翌年二月ごろに除染の対策工事が集中するため、建設業者を十分に確保できない。

 浜通りの市町村の担当者は「時間がかかっても、国や県が農繁期でも除染できる対策をしっかりと示してほしい」と訴える。

 国は復興・創生期間が終了する二〇二〇年度以降の除染について、引き続き福島再生加速化交付金を財源として充てる方針。


■営農再開が前提

 農水省のマニュアルでは、除染対象となっているため池のうち、作業着手には営農再開の計画策定が前提となる。ただ、原発事故の帰還困難区域を抱える市町村では、営農再開の見通しが立たず、ため池の除染対策が難航している。

 双葉町では対策が必要な六十六カ所のため池のうち、大部分は帰還困難区域にある。町農業振興課は「ため池に限らず、水路など里山を一体的に除染しなければ、営農再開には結び付かない」と対策の長期化による住民の営農や帰還への影響を懸念する。

 県は年二回、国や市町村を交えた連絡会で課題の共有に努める。県農地管理課は「地域が抱える課題を吸い上げ、早期に対策が進むように支援していきたい」としている。


■大雨による被害

 昨年十月の台風19号と記録的大雨により、県内のため池は八カ所で堤防が決壊する被害が出た。このうち、南相馬市の一カ所では、堆積物が流出した。

 南相馬市によると、堆積物が流出した農地は作付けをしておらず、影響はなかったという。今後も水害によりため池に被害が及ぶ恐れがあるとして、市は「早急な対策が必要」としている。