
福島市内で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることを受け、市と市医師会は二十日、共同で「新型コロナ緊急警報」を発令した。同市の新型コロナ患者の病床使用率が71・67%に上る点などから判断した。来年一月三日まで、不要不急の外出や忘新年会、帰省の自粛などを市民に要請する。市内の福島西部病院で十九日に発生した院内クラスター(感染者集団)で、市は二十日、新たに五人の陽性が確認されたと発表した。同病院の感染者は累計三十二人となった。
■福島西部病院クラスター 新たに5人陽性
福島市の木幡浩市長と岡野誠市医師会長が二十日、市役所で緊急記者会見し、市民に「緊急警報」への協力を呼び掛けた。独自に新型コロナの警報を出すのは県内市町村で初めて。法的拘束力はないが、市は市民に対策徹底を強く促す狙い。
市内では十二月に入り、スナックや居酒屋でクラスターが発生した。福島西部病院で起きた院内クラスターも含め、二十日までに百五十八人の感染が確認された。十六日までの一週間の十万人当たりの新規感染者数は二四・二人で、大阪府の二七・二人、東京都の二二・三人(いずれも九日までの一週間)と同水準となっている。
市内四病院に六十床確保している新型コロナ患者向け病床は四十三床が埋まり、政府の対策分科会が「ステージ4(爆発的感染拡大)」の指標の一つとする「確保病床の50%以上」を大きく上回っている。木幡市長は「このままだと救急医療など通常の医療ができなくなる。感染拡大を抑え込み、年明けを迎えられるよう協力してほしい」と市民に訴えた。
市は警報発令に合わせ、来年一月十日の成人式の中止を決めた。公立小・中・特別支援学校、幼稚園を二十三日に臨時休校・休園とし、そのまま二十四日から冬休みとする。各界の代表が集う一月四日の新春市民交歓会はいったん見送りとして今後、中止か延期かを検討する。事業所支援として、無利子・無担保の緊急融資を行う。
二十日には厚生労働省クラスター班の専門家が市と福島西部病院に派遣された。