【美しい村連合】地方に向け人の流れを(1月12日)

2021/01/12 09:24

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 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、地方に目が向いている。小さな町村などで組織しているNPO法人「日本で最も美しい村」連合に注目したい。県内から飯舘、北塩原、三島、大玉、昭和の五町村が加盟している。人口減や少子高齢化に頭を痛めている町村が多いが、先人は数々の宝を残した。コロナ禍後も見据えて、都会から地方へ人の流れを生み出してほしい。

 連合は二〇〇五(平成十七)年十月四日に発足した。人口がおおよそ一万人以下で、景観や文化などの地域資源が大切にされていることが参加に必要な条件で、五年ごとに審査される。合併前の旧町村といった地域にも門戸を広げ、現在の参加自治体・地域は六十三に上る。

 フォーラムや写真公募展などでPRを重ね、公式ガイドブックには各地の絶景を掲載した。十五年にわたる地道な歩みが、自立の道を後押しする。三島町では、サイノカミや編み組細工など日常に溶け込む慣習や伝統工芸品に光が当たり、世代を超えて、古里に誇りを持ち、素晴らしさを再確認することができたという。加盟町村間でつながりも生まれ、大玉村の献穀田で収穫したコメと、北塩原村特産の会津山塩を使った煎餅「天田[あまた]」が昨年十月に発売され、人気を集めている。

 つながりは全国にも広がる。飯舘村は二〇一〇年九月に加盟し、約半年後に東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が発生した。全村避難を余儀なくされ加盟の継続が危ぶまれたが、支援の輪が広がり審査や負担金などが一時免除された。その後、飯舘村は連合に加盟する熊本県球磨村で豪雨被害が出た際に児童書を贈り、支援の恩返しをした。

 昨年、連合は十月四日を「日本で最も美しい村の日」に制定し結束を固めた。昨夏からはコロナ禍対策としてフェイスブックによるライブ配信で、古里の情報を全国に発信している。今月下旬には北塩原村が登場する予定だ。

 二〇一九年に加わった昭和村は今後、フリーWi-Fi(ワイファイ)を全村に順次整備する計画だ。人口千二百人余の村で世界中の情報を得られれば、国が推進するテレワークにも十分に対応が可能だろう。

 国は首都圏一極集中の是正に力を入れる。受け皿の整備は移住に目が向くきっかけにもなる。地方への関心の高まりを一過性で終わらせてはならない。全国にまたがる「美しい村」の仲間が協力し、地方暮らしの魅力を発信し続けるべきだ。(小林 和仁)