津波対策、国の責任否定 東京高裁原発集団訴訟 一審判決覆す

2021/01/22 08:28

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 東京電力福島第一原発事故に伴い、県内から群馬県などに避難した九十一人が国と東電に計約四億五千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(足立哲裁判長)は二十一日、国と東電の責任を認めた一審前橋地裁判決を覆し、国の責任を否定した。津波対策を東電に命じなかった国の対応を「問題があったとまで認めることは困難」と判断し、一審で国に賠償を命じた部分を取り消した。東電の賠償額は一審より増額し、九十人に約一億一千九百七十二万円の支払いを命じた。

 約三十ある同種の集団訴訟の高裁判決は二件目。国の責任が初めて高裁で否定された。昨年九月の仙台高裁判決は国の責任を認めており判断が分かれた。原告側は判決を不服とし、上告する方針。

 足立裁判長は判決理由で、巨大地震の可能性に言及した政府機関による地震予測「長期評価」には異論もあり、土木学会の知見とも整合しないため、国は長期評価から津波の発生を予見できなかったとした。長期評価を基に防潮堤設置などの対策を講じても事故は回避できず、国の対応が「著しく合理性を欠くとは認められない」と結論づけた。

 一方、東電に命じた賠償については、支払う対象を二〇一七(平成二十九)年三月の一審判決の六十二人から九十人まで救済範囲を広げ、金額も計約三千八百五十五万円から、約三倍の計約一億一千九百七十二万円に増額した。

 控訴審の原告は避難指示区域内に住んでいた三十七人と避難指示区域外の五十四人。避難に伴う精神的慰謝料など一人当たり三百三十万円~千百万円を求めていた。