【廃炉の現場】(9)第2部使用済み核燃料 1号機4度見直し 作業阻む高線量

2021/01/25 08:25

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 「次々に課題が浮き彫りになり、工程の見直しを迫られる。まるで廃炉作業の縮図だ」

 東京電力福島第一原発の廃炉に携わる技術者は、使用済み核燃料の取り出し作業を表現した。

 事故から間もなく十年となる現在も、1~6号機の原子炉建屋に、四千五百体を超える使用済み核燃料が保管されている。冷却がままならなくなれば最悪、再臨界となる事態も想定される。建屋は耐震面や津波防護などで不安があるため、東電は建屋からの核燃料の搬出を重要作業の一つと位置付けて作業を進めてきた。ただ、取り出しの工程は遅れ続けている。

 二〇一一(平成二十三)年十二月に公表した最初の廃炉の中長期ロードマップでは、1~4号機に残る燃料の取り出しを廃炉の第二期に当たる「事故号機の冷温停止から十年以内」に完了させる目標だった。しかし、二期完了時期が迫る中、搬出が完了したのは4号機のみだ。現在の完了目標は二〇三一年度と当初より大きくずれ込んでいる。


■試行錯誤

 1~3号機の中で、1号機が「非常に厳しい状況」(東電担当者)といわれる。当初は二期中に取り出しが始まる計画だったが、四度の見直しにより、開始時期が事故のあった号機の中で最も遅い二〇二七~二〇二八年ごろにまでずれ込んだ。

 東電は作業が遅れる理由を、「住民帰還が進む中、従来以上に放射性物質を含む粉じん防止など周辺地域の安全に配慮している」としている。

 1号機は事故直後に発生した水素爆発によって長さ約三十メートルのクレーンや重さ三十五トンに及ぶ燃料取扱機が大破し、使用済み核燃料プールの真上に覆いかぶさっている。粉じんを封じ込めるため、建屋カバーをがれき撤去の前に設置する計画に変更した。取り出し作業開始がずれ込む要因となった。

 がれきの撤去は遠隔作業などによって移動・解体を進めるとみられる。複雑に積み上がった巨大がれきの崩落やプールへの落下、多くの粉じんの発生を防ぐためには一層慎重な作業を求められる。 


■1970ミリシーベルト

 1号機の使用済み核燃料取り出しは、高い放射線量への対策も避けては通れない。原子炉格納容器の真上にコンクリート製のふた「ウェルプラグ」がある。三層になっているふたが水素爆発の影響でずれており、二〇一九年に隙間を調査した結果、毎時一九七〇ミリシーベルトという極めて高い放射線量が計測された。

 今後はがれきの本格撤去を前に除染・遮へいなどの作業も必要になるため、現時点で具体的な手法はまだ決まっていない。

 ただ、資源エネルギー庁の関係者は「ここまで高い放射線量は完全に想定外」とし、従来の作業のような遮へいする構造物の設置に加えた新たな対策が必要と見る。環境の改善には相当の時間がかかるとみられており、廃炉工程全体への影響も未知数だ。