新型コロナ 南会津病院の外来休止 脆弱な医療浮き彫り 体制強化が急務

2021/01/26 08:47

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 南会津町の県立南会津病院で常勤医が新型コロナウイルスに感染したことに伴う同病院の外来診療休止などの影響で、南会津郡の脆弱(ぜいじゃく)な医療体制があらためて浮き彫りとなった。同病院では救急受け入れを継続するが、人手不足で逼迫(ひっぱく)する可能性がある。このため、只見町の朝日診療所は二十五日、夜間を含めた受け入れ時間の拡大を急きょ決めた。南会津地方町村会は県に対し、郡内の医療体制強化を求め続けていく考えだ。

 ■冬場の救急搬送

 南会津病院は救急対応について、休診中も可能な範囲で対応していくとしている。同病院の担当者は「常勤医が八人で、一人でも欠けるとやりくりが大変になる。全職員のPCR検査などにかかる時間を考えると、対応できる範囲が限られる可能性もある」と懸念を示している。

 朝日診療所は郡内で唯一、南会津病院の他に救急医療を担っている。常勤医が二人のため受け入れ時間を平日は午後八時まで、土日は午後五時までとしていた。ただ、南会津病院の状況がさらに厳しくなれば、冬場は二時間半かかる会津若松市の病院への搬送を余儀なくされる。患者の負担が大きく、命を守れないケースも出かねないと判断し、夜間受け入れを決めた。

 診療所関係者は「われわれも決して楽ではないが、地域住民のために踏ん張りたい」と決意する。

 ■10年間で半減

 南会津病院が休診を余儀なくされた背景には、郡内の医師数の減少がある。二〇一一(平成二十三)年度には常勤医が南会津病院で十五人、朝日診療所で四人いたが、現在はいずれも半減した。現時点では改善の見通しはない。南会津病院は常勤医のいない婦人科や眼科、皮膚科などの診療科で会津若松市の福島医大会津医療センターなどから医師派遣の応援を受けてきた。

 県は、慢性的な医師不足の中でへき地に定着する医師が少ないなどの要因があると分析するが、打開策は見いだせていない。

 他の医療機関への影響も予想される。特に高齢者の患者が多い整形外科は医師不足が深刻で、郡内では南会津病院以外に南会津町と下郷町に計二カ所しかない。このうち下郷町の佐藤医院の佐藤正文理事長は「まだ目立った変化はないが、昨年に南会津病院の整形外科が不在だった時期は患者が増えた。今回も同様ではないか」とみている。

 ■支援要望

 南会津町は同日までに町内の全ての高齢者介護施設に対し文書とメールで感染防止対策の徹底を呼び掛けた。

 南会津地方町村会の星学会長(下郷町長)は地域医療が逼迫した状況を踏まえ「引き続き郡内の医療体制の拡充を県に要望していきたい」との考えを示した。

 県は南会津病院への支援について、職員らの検査結果を踏まえて対応を検討する。内堀雅雄知事は二十五日の定例記者会見で、医療機関で院内感染やクラスター(感染者集団)が発生した場合には全体でサポートすることが極めて大切と強調。南会津病院は地域で重い責任を担っているとした上で「県の本庁や福島医大、会津若松地域のマンパワーを含めて全面的に支援し、地域医療を支えることが重要だ」との見解を示した。