格納容器上ぶた汚染深刻 第一原発1~3号機 廃炉作業の新たな障壁に

2021/01/27 08:33

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 東京電力福島第一原発事故を分析する原子力規制委員会の検討会は二十六日、二〇一九年九月以降に行った調査結果の報告書案をまとめた。1~3号機の原子炉格納容器の上ぶたに大量の放射性セシウムが付着していると指摘し、廃炉作業の新たな障壁として警鐘を鳴らした。原子炉格納容器の底部にある溶融核燃料(デブリ)の取り出しなどを含め、廃炉工程の練り直しを迫られる可能性がある。


 報告書案によると、上ぶたは鉄筋コンクリート製の三層構造になっている。1号機で百兆~二百兆ベクレル、2号機で二京~四京ベクレル、3号機で三京ベクレルの放射性セシウムが、三層のうちの上から一枚目と二枚目の間に付着している可能性があるという。

 事故当時、三基には計約七十京ベクレルがあったとされており、そのうちの十分の一程度が上ぶたに残留している計算。さらに下層の汚染状況は今回の調査では分からなかったため、引き続き把握に努めることが重要だとした。

 人を容易に寄せ付けないほどの上ぶたの深刻な汚染は、今後計画されているデブリ取り出しや使用済み核燃料プールからの核燃料取り出しに影響を及ぼす懸念がある。廃炉の技術開発を担う国際廃炉研究開発機構(IRID)は、圧力容器内に残るデブリ取り出しに向け、(1)上部穴開け(2)側面穴開け(3)下部アクセス-の三つの調査工法を検討している。

 このうち、上部と側面からの調査では上ぶたに貫通部を設け、カメラや線量計を差し入れる想定。だが、上ぶた周辺の極めて高い放射線量に、カメラなどの機器が耐えられるかは不透明だ。さらに、1号機の上ぶたは、ずれて、ゆがんでいる。

 上ぶたをいつ・どう撤去するのか、どこで保管・処分するのかなどの具体的な検討が求められる。規制庁の担当者は「放射線源として非常に強力。正確な量と化学形態が分からないと手が打てない」としている。

 1~3号機の使用済み核燃料プールには、計約千体の核燃料が残されている。リスクを低減するために取り出す必要があるが、高濃度の汚染が確認された上ぶたの除染、遮へいによる作業環境の改善が不可欠になる。ただ、現時点では方針や手法は決まっていない。

 報告書案について、東電は「原発事故の当事者の責務として、今後も調査、検討していく」とした。

 県原子力安全対策課は「廃炉に向けて取り組むべき課題がまた一つ明らかになった。国と東電は人が容易に近づけない汚染箇所への対応をしっかりと検討してほしい」と求めた。