第一原発処理水、タンク満杯「来秋以降」 東電、発生量低減で先延ばし

2021/01/29 08:50

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 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、東電の小野明常務・福島第一廃炉推進カンパニー最高責任者は二十八日、処理水を保管するタンクが満杯になる時期を「二〇二二(令和四)年秋以降になる」との見通しを示した。東電はこれまで「二〇二二年夏ごろ」としてきたが、汚染水発生量の低減を受け、先延ばしした。政府による処理水の処分方針の決定時期への影響が注目される。

 東電は二十八日、政府と東電による廃炉工程表「中長期ロードマップ」に関する会見を開いた。建屋への雨水流入を抑える対策などで、二〇二〇年に発生した汚染水の一日当たりの平均は約百四十トンとなり、目標の百五十トン程度を達成したことを明らかにした。

 小野氏は「(汚染水発生量の)実績を見ると二〇二二年夏より後ろになるのは間違いない。二〇二二年秋以降になると考えてもらっていい」とタンク限度の試算を見直す可能性を示唆した。

 処理水の処分を巡っては、政府の小委員会が昨年二月、「海や大気への放出が現実的」とする報告書をまとめた。政府は昨年十月に閣僚会議を開き、海洋放出を決めようと福島県の自治体などに説明を始めていたが、漁業者らの反対意見が根強い状況を踏まえ、決定を先送りした。方針の決定時期について、菅義偉首相は「先送りせず、今後、適切な時期に政府として責任を持って(処理水の)処分方針を決める」としている。

 処理水の処分が福島県のみで行われたり、福島県から始まったりすることが風評につながるとの県民の懸念は根強い。

 東電福島第一原発では、溶融核燃料(デブリ)を冷やすための注水や雨水、地下水が原因となり汚染水が発生している。約百三十七万トン分(千四十七基)のタンクには汚染水を浄化した後の処理水を二十一日現在、約百二十四万トン保管している。