予断持たず解析続ける、甲状腺検査結果で神谷センター長「結論得てない」 福島県民健康調査国際シンポ

2021/02/15 11:54

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県民健康調査の成果を説明する神谷氏
県民健康調査の成果を説明する神谷氏
甲状腺検査の現状を示す志村氏
甲状腺検査の現状を示す志村氏
県内の流産や中絶の発生状況を発表する藤森氏
県内の流産や中絶の発生状況を発表する藤森氏

 東京電力福島第一原発事故に伴う県民健康調査に関する国際シンポジウムは十三日、福島市のザ・セレクトン福島で開幕した。福島医大などの関係者が甲状腺検査をはじめ、十年を迎える各調査の成果を発表し、原発事故の影響や県民の健康を把握する意義を伝えた。

 福島医大放射線医学県民健康管理センターの主催。「よりよい復興を、ともに 県民健康調査の十年とこれから」をテーマに十四日まで、国内外の各分野の有識者が東日本大震災と原発事故後の県民の健康を巡る現状や課題を議論している。

 神谷研二センター長は県民健康調査の概要を説明し、事故当時十八歳以下だった県内の子どもを対象とする甲状腺検査の一、二巡目について、県民健康調査検討委員会の「被ばくの影響は考えられない」との評価を紹介。ただ、「結論を得たわけではない」として、予断を持たずに解析を続ける必要性に言及した。

 被災住民の心身の健康状態を調べる健康診査や、妊産婦調査など各項目の現状と成果を振り返り、県民の健康を保つ上では「被ばく線量に限らず、生活環境の急変など、多様な要素を考慮する必要がある」と指摘し、調査の役割を強調した。

 竹之下誠一福島医大理事長兼学長が冒頭であいさつした。内堀雅雄知事がビデオメッセージを寄せた。


■1、2巡目と同傾向か 志村氏・甲状腺検査3巡目結果

 放射線医学県民健康管理センターの志村浩己甲状腺検査部門長は甲状腺検査に関する講演で、二〇一六(平成二十八)、二〇一七年度に実施した三巡目の結果について「一、二巡目の結果と同じ傾向になるのでは」との見方を示した。

 志村氏は一~三巡目の検査結果を比較した結果、一次検査の受診者のうち二次検査に進む「B判定」とされる比率は同様の傾向を示していると指摘。二次検査でがん・がんの疑いと診断される人の比率も年齢が上がるにつれて高まる点も、一~三巡目に共通するとした。

 同検査で見つかるがんを巡っては、有識者でつくる県民健康調査検討委員会が一巡目の結果について「放射線の影響とは考えにくい」、二巡目についても「甲状腺がんと放射線被ばくの関連は認められない」との評価を既に示している。検討委は三巡目の評価を進めている。

 甲状腺検査は原発事故当時に十八歳以下だった県内の子ども約三十八万人を対象に二〇一一年度に始まった。


■流産や中絶は特異的増加なし 震災後、藤森氏報告

 放射線医学県民健康管理センターの藤森敬也妊産婦調査室長は震災前後の県内の妊産婦の自然流産や人工妊娠中絶の発生状況に関する調査結果を報告し、「震災後に特異的な増加はみられなかった」とした。

 調査は主任教授を務める福島医大産科婦人科学講座が主体となり二〇一一年一月~二〇一六年十二月、産婦人科のある県内の医療機関に妊娠二十二週未満の妊婦の状態を調べた。人工妊娠中絶は震災直後に一時的に増加したが、季節による周期性の変動であり、被災による影響は認められないと判断した。

 二〇二〇(令和二)年度で終わる妊産婦調査の総括では、低線量被ばくへの不安を解消するには「科学的に『安全』というだけでは『安心』につながらない」と述べ、客観的データを県民に積極的に公開する重要性を訴えた。

 後藤あや副室長は新型コロナウイルス感染拡大後に福島、東京など四都県の母親らに行ったアンケート調査の結果を発表した。