被災者支援在り方探る 県民健康調査 国際シンポ閉幕

2021/02/16 09:00

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避難者の心身のケアの在り方などについて意見を交わす登壇者
避難者の心身のケアの在り方などについて意見を交わす登壇者

 東京電力福島第一原発事故に伴う県民健康調査に関する国際シンポジウムは最終日の十四日、福島市のザ・セレクトン福島で開かれ、避難者の心身のケアや海外との連携の在り方などを探った。


 福島医大放射線医学県民健康管理センターの主催。十三日から二日間にわたって開催した。国内外の各分野の有識者が東日本大震災と原発事故後の県民の健康を巡る現状や課題を議論した。

 福島医大医学部災害こころの医学講座の前田正治主任教授は県民健康調査による「こころの健康度」について解説した。避難指示が出された地域の住民で、うつ病などの可能性があるため支援が必要とされる人の割合は二〇一九年が5・7%で、震災以降、全国平均の3・0%を上回ったまま高止まりしている。支援が必要な人の割合は県内避難者に比べ、県外避難者が高く、全国に散らばる避難者支援に効果的な電話支援を継続すべきだと強調した。

 茨城大人文社会科学部の原口弥生教授は県外避難者の現状と課題について発表した。避難の長期化に伴い、県外避難者の悩みが「住居」から「近隣との人間関係」に変化したと指摘。全国に分散する避難者へのきめ細かいサポートには、支援する側のネットワーク構築が欠かせないと訴えた。

 リモートで参加した国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)のギリアン・ハース議長は、福島第一原発事故の健康影響に関する新たな報告書を三月に公開すると明らかにした。UNSCEARは二〇一三(平成二十五)年、県内の甲状腺被ばく線量を年齢別、地域別に推計し、原発事故による放射線被ばくについて福島県で明確ながんの増加は予想されないとする報告書をまとめている。新たな報告書は被ばく線量推計の精度をより高めたという。