知財の取得、活用強化 福島県が戦略協議会発足へ 産業の復興後押し

2021/02/19 09:37

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 県は二〇二一(令和三)年度、県内中小企業による特許や商標などの知的財産(知財)の取得、活用を支援する体制強化に乗り出す。県や特許庁、金融機関などでつくる「ふくしま知財戦略協議会(仮称)」を新たに発足させる。

 各団体の役割や目標を盛り込んだ行動計画を策定し、進捗(しんちょく)状況を確認し合う。中小企業の経営基盤の安定化を後押しし、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の発生から丸十年以降の福島県の産業復興を一層加速させる。

 協議会は県や市町村、特許庁、知財の相談窓口となる県発明協会、県ハイテクプラザなどの産業支援機関、地元金融機関、福島大や会津大などの大学、日本弁理士会、報道機関など数十団体で構成される見通し。

 行動計画には普及啓発から事業創出、販路開拓まで段階別の取り組みや目標を盛り込む方針。団体ごとの役割を明記した上で、企業のニーズを把握するための訪問活動件数、普及啓発を目的としたセミナー・研修会の開催数、知財の出願件数、商品開発の実績などの目標を設定することを想定している。協議会は来年二月ごろの発足を目指す。行動計画は現状を踏まえ毎年度改定し、各目標の達成状況などを確認する。

 県は二〇〇八(平成二十)年、産学官金による連携組織「ふくしま知的財産プラットフォーム委員会」を設けた。ただ、県の施策に関する情報共有にとどまっているのが実情のため、委員会の体制を見直す形で新しい支援組織を設ける。

 県内の中小企業は部品の加工・製造など下請けが中心で、大手企業の発注動向によって経営状態が左右されやすい。経営基盤の安定を図るためには、自社技術を生かした開発・提案型への転換が欠かせない。

 このため県は二〇一七年度から、知財活用に精通している弁理士を企業に派遣し事業化を後押ししてきた。特許庁も二〇一八年度から三年間、福島知財活用プロジェクトを展開。各地でセミナーを開くなどし、知財を実務に生かすための手法を発信した。県は震災から十年間の取り組みを踏まえ、福島県産業の復興をさらに推し進めるために体制強化が必要と判断した。

 県内の特許出願件数は震災後、年間二百五十~三百件前後で推移しており、一層の取得増を目指す。