国の責任認定、一審覆す 原発避難千葉訴訟 東電にも賠償命令 東京高裁

2021/02/20 08:43

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 東京電力福島第一原発事故で福島県から千葉県に避難した住民十七世帯四十三人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(白井幸夫裁判長)は十九日、東電だけに賠償を命じた一審千葉地裁判決を覆し、国と東電の責任を認めた。東電への規制権限を行使しなかった国の対応を違法と判断した。東電に約二億七千八百万円の賠償を命じ、このうち約一億三千五百万円を国と連帯して払うよう命じた。

 二〇一七(平成二十九)年九月の一審判決は国の責任を否定し、東電のみに計約三億七千六百万円の賠償を命じていた。原発事故の避難者らによる同様の集団訴訟は全国で約三十件あり、国を被告に含む控訴審判決は三件目。高裁が国の責任を認めるのは昨年九月の仙台高裁(生業訴訟)に続いて二件目。今年一月の東京高裁(前橋訴訟)は国の責任を否定しており、先行する二件の訴訟では高裁の判断が分かれていた。

 政府の地震調査研究推進本部が二〇〇二年に公表した、福島県沖での津波地震の危険性を指摘した地震予測「長期評価」の信頼性が主な争点。国と東電が長期評価を基に巨大津波を予見し、対策を取っていれば事故を回避できたかが争われた。

 判決で、白井裁判長は長期評価を「相応の科学的信頼性がある」と認め、信頼性は国や東電が規制権限行使や津波対策の根拠としていた「津波評価技術」と同等とした。長期評価に基づけば「福島第一原発に敷地高を大きく超える津波が来る危険性を認識し得た」と予見可能性を認めた。東電に対策を命じなかった国の対応は「著しく合理性を欠く」として国賠法上違法で、賠償義務を負うと結論付けた。防潮堤の設置などの対策が取られていれば「津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態に至らなかった」と批判し、国の対応と事故に因果関係を認めた。

 賠償については、避難生活に伴う慰謝料として、一部の原告には国の賠償基準「中間指針」を上回る賠償額を認めた。帰還か、帰還を断念するか決定せざるを得ない状況に置かれることが精神的損害に当たり「避難慰謝料とは別に賠償されるべき」と指摘し、事故前の生活基盤を失う「ふるさと喪失慰謝料」を実質的に認めた。