「復興進んでいない」54.1% 避難区域設定の県内12市町村

2021/03/01 08:37

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 福島民報社は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十年となるのを前に、双葉郡八町村の住民に対する聞き取り方式の意識調査と、双葉郡以外の県民への電話による調査を実施した。双葉郡八町村では、原発事故で避難区域が設定されるなどした県内十二市町村の復興が進んでいないと考えているのは計54・1%で過半数となった。復興に向けた最も大きな課題は、「避難した住民の帰還」が32・1%で最も多かった。原発事故による避難の長期化が深刻な影響を及ぼしている実態が改めて浮き彫りになった。

 双葉郡八町村の住民に対する聞き取り方式の意識調査で、避難区域が設定されるなどした双葉郡八町村と南相馬市、田村市、川俣町、飯舘村の計十二市町村の復興が進んでいると考えているかどうかを尋ねた質問に対し、38・0%が「あまり進んでいない」、16・1%が「進んでいない」と回答した。

 一方で「おおむね進んでいる」は28・5%、「進んでいる」は5・9%となり、進んでいると捉えているのは計34・4%だった。11・5%は「わからない」と回答した。

 回答の理由を聞いたところ、「進んでいない」とした浪江町の六十代男性は「福島第一原発の廃炉作業が終わらない限り、復興はない」とした。「あまり進んでいない」と考える浪江町の三十代男性は「帰還困難区域が残っているから」と指摘した。

 「おおむね進んでいる」とした大熊町の三十代男性は「道路、高速道などが整備されている」、川内村の三十代女性は「人が戻ってきている。イベントもやっている」と理由を挙げた。

 復興に向けて最も大きな課題を挙げてもらう設問では32・1%の「避難した住民の帰還」に続き、「福島第一原発の処理水の処分を含む廃炉作業」が26・6%となった。「帰還困難区域の解消」が16・4%、「除染廃棄物の最終処分」は10・5%、「道路や堤防など社会基盤の整備」は3・6%、「県産品に対する風評の払拭(ふっしょく)」が2・0%だった。「その他」は5・6%、「わからない」は3・3%だった。


■双葉郡以外の県民は49.5%

 双葉郡八町村以外の県民に対して実施した電話による調査では、原発事故の避難区域が設定されるなどした県内十二市町村を巡り、復興が進んでいないとの回答は計49・5%だった。内訳は「あまり進んでいない」が39・3%、「進んでいない」が10・2%だった。

 一方、「おおむね進んでいる」は29・5%、「進んでいる」は7・9%だった。「わからない」は13・1%だった。

 復興に向けた最も大きな課題は何か尋ねたところ、半数超の52・9%が「福島第一原発の処理水の処分を含む廃炉作業」を挙げた。「避難した住民の帰還」が11・5%、「除染廃棄物の最終処分」が7・5%、「県産品に対する風評の払拭」が6・8%、「帰還困難区域の解消」が5・7%、「道路や堤防など社会基盤の整備」が4・0と続いた。「その他」は4・1%、「わからない」は7・5%だった。

 調査の実施方法が異なるため単純比較はできないが、双葉郡八町村の住民と、双葉郡八町村以外の県民では、復興に向けた課題への認識に差異がうかがえた。双葉郡八町村の住民は古里への帰還を最大の課題とするのが最も多く、他の地域では福島第一原発の廃炉を課題と捉えるのが最多となっている。