復興拠点外方針示さず 復興基本方針改定案 政府公表 実質的に先送り

2021/03/02 08:44

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 政府は一日、二〇二一(令和三)年度から五年間の第二期復興・創生期間に向け、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興基本方針の改定案を公表した。近く、閣議決定する。帰還困難区域のうち住民の居住再開を目指す特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域については具体的な方針を示さず「方針の検討を加速化させる」として実質的に先送りする表現にとどまった。

 福島、宮城、岩手の被災三県の知事や有識者らで構成する復興推進委員会で示した。

 帰還困難区域の避難指示解除は「可能なところから着実かつ段階的に取り組む」とし、一~二年後に先行解除する復興拠点の除染やインフラ整備を実施する。一方、拠点区域外は避難指示解除に向けた「検討を加速」させるとした。

 福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水については「先送りできない課題」としつつ、処分方法決定の具体的な時期は示さず「適切なタイミングで結論」を出すとした。食品の出荷規制については、知見やデータを踏まえ、科学的で合理的な検証を進める。

 避難者の帰還だけでなく新たな住民の移住を促す。ロボットや新エネルギーなど最先端産業の創出と人材育成を担う国際教育研究拠点の新設を進める。


■復旧・復興事例ネットで公開へ 復興庁

 復興庁はこれまでの復旧・復興の事例を収集し、教訓とノウハウを三月中に同庁ホームページで公開する。平沢勝栄復興相(福島高出身)は委員会の総括で「できれば本にして国内外で共有したい」と述べた。


■復興基本方針の主な改定事項と内容

▼原発事故収束(廃炉・汚染水対策)=処理水は先送りできない課題であり、政府として責任を持って、風評対策も含め適切なタイミングで結論

▼避難指示解除地域における移住・定住の促進=移住・定住の促進、交流人口・関係人口の拡大などのため交付金により自治体や移住・起業する個人を支援

▼避難指示解除区域のインフラ整備=社会資本整備総合交付金(復興枠)による総合的・一体的な社会資本整備の支援を継続

▼帰還困難区域の避難指示解除=特定復興再生拠点区域外について、各自治体の課題や要望を丁寧に伺いながら方針の検討を加速化

▼国際教育研究拠点の整備=福島の創造的復興に不可欠な研究や人材育成、産業競争力強化、世界にも共通する課題解決に貢献する観点から「創造的復興の中核拠点」として新設

▼営農再開の加速化=福島特措法による特例措置を活用した農地の利用集積、生産・加工が一体となった高付加価値生産を展開する産地の創出を支援

▼風評払拭・リスクコミュニケーションの推進=農林水産や観光の風評払拭に向け、引き続き国内外への情報発信を推進。食品に関する出荷規制などについて知見やデータの蓄積を踏まえ、科学的・合理的な見地から検証。検証結果を分かりやすく情報発信