「敷地内処分」姿勢変えず 第一原発処理水

2021/03/05 09:04

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 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十年になるのを前に、梶山弘志経済産業相は福島民報社のインタビューに応じた。福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水を巡り、処分方針の決定時期は「本当に決まっていない」と述べた。県外処分の可能性については「福島一県に犠牲を強いるということではないが、現実的な時間軸を考えると難しい」として、改めて県外処分に否定的な考えを示し、福島第一原発敷地内での処分を示唆した。県内には、原発敷地内での処分に反対する意見が根強くある。

 政府の小委員会は昨年二月、「海や大気への放出が現実的」とする提言をまとめた。これを受け政府は海洋放出の方向で県内自治体などに説明を始めたが、漁業者らからは処理水が「福島から」「福島のみ」で海洋放出されれば風評被害の再燃につながると強く反発する声が上がり、実質的に決定を先送りした経緯がある。

 梶山氏はインタビューで、福島第一原発の敷地だけでなく県外の原発などに処理水を移送して処分できないかを問われ、「大阪や南鳥島で処分してはどうかという話もあるが地元自治体、隣接自治体、通過する自治体の了解を得る必要がある。今の枠組みの中でどう輸送、保管、処分するのか原子力規制委員会で新たな検討が必要になる」と指摘。「膨大な時間が掛かる可能性がある。現実的ではない」とし県外処分は困難だとした。これまでも「福島県外に持ち出すことは現実的な選択肢になるとは考えていない」と県外処分に否定的な見解を明らかにしていた。

 政府と東京電力は二〇一五(平成二十七)年、処理水の海洋放出に反対する県漁連に「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と回答している。これについて梶山氏は関係者には県漁連や県、県内自治体などが含まれると説明した上で「ぎりぎりまで多くの方の理解を得る努力を続ける、という意味で申し上げた言葉だ」との認識を示した。