東京五輪代表へ闘志 東邦銀陸上部

2021/04/09 09:49

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 東京五輪の日本代表入りを懸けた陸上のトラックシーズンが今月から本格化する。東日本大震災発生の翌月に産声を上げた東邦銀行陸上部の選手は、震災から10年で迎える大舞台に立ち、県民を勇気づける走りを見せようと、代表争いに闘志を燃やしている。


■鍵は序盤の加速 紫村

 女子100メートル障害の紫村仁美(30)は五輪の参加標準記録12秒84に照準を定める。自己ベストは2013(平成25)年に出した13秒02(日本歴代3位タイ)。ライバルは多いが、「課題を克服できればタイムも順位も付いてくる」と自らとの戦いを強調する。

 今季初戦となった2月17日の日本室内選手権は60メートル障害で7位。冬季練習で重点を置いた序盤の加速で、重心が後ろに乗ってしまった。「スタートのパワーポジション(姿勢)で全体の流れが決まる」と反省し、「レースの感覚を戻したい」と次の実戦を見据える。

 五輪出場のため古里・佐賀県の高校教員を辞め、2015年8月に東邦銀行へ加入した。今季はチーム最年長となった。個人種目の他に、昨年に続く日本選手権リレー2冠と全日本実業団対抗選手権の総合優勝を目標に掲げる。「県民の皆さまに応援していただけるチームになる」と強さをアピールするつもりだ。


■切り替えが課題 松本

 実業団3年目の松本奈菜子(24)は400メートルと1600メートルリレーで代表を目指す。3月28日の世界リレー大会(5月・ポーランド)代表選考会は、400メートルで54秒23の全体1位ながら、昨年11月に記録した53秒31の自己ベストから0秒92遅れた。前半はスピードに乗ったが、第3コーナー過ぎで切り替えられず、後半の伸びを欠いた。

 冬季練習は故障がちだった昨季より、じっくりと取り組めた。「後半で走りのテンポを上げるイメージが感覚に落とし込めていない」と今季初戦の結果を悔しがる一方、「400メートルを不安なく走れる体力がついている」と手応えもつかんだ。

 1600メートルリレーの出場枠は16。既に8カ国が得ている。世界リレー大会の代表に選ばれれば、今大会で出場枠を得る8位以内を狙う。2019年の世界選手権は混合リレーのメンバーに選ばれながら補欠に回った。「チャンスをつかむ年にする」と覚悟がにじむ。


■経験力に変える 武石

 松本と共に、五輪に向けた日本陸連女子リレープロジェクトのメンバーに選ばれている武石この実(29)は「自分が納得のいく走りをしたい」と五輪シーズンを見据える。

 2019年夏から故障を繰り返した。昨季は万全でない状態で力を出し切ろうと、もがいた。身長168センチのストライドを生かしたダイナミックな走りが持ち味。冬季練習では本来の動きを体現できるよう意識し、着実に力が付いた感覚があった。世界リレー大会代表選考会の400メートルは自己ベストから約4秒遅い記録だった。それでも「チャレンジしたことに悔いはない」と前を向く。

 会津若松市出身で震災当時は福島大1年生。世界で戦う東邦銀行の先輩に憧れた。「地域を勇気づけられる存在でありたい」との思いが常にある。城北小で競技を始めて22年目。積み重ねた経験が今の自分を支える。「陸上が楽しいなという気持ちを大切にしたい」と原点を心に留めている。