【連載】相馬福島道路全線開通「復興への動脈」

2021年4月24日に全線開通した東北中央自動車道「相馬福島道路」の伊達桑折IC付近を上空から撮影した動画

相馬福島道路全線、開通 横軸強化で復興加速 霊山-伊達桑折IC

2021/04/25 08:48

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開通区間の伊達中央IC付近を走る一般車両。左奥は東北道方面=24日午後3時55分ごろ、伊達市保原町
開通区間の伊達中央IC付近を走る一般車両。左奥は東北道方面=24日午後3時55分ごろ、伊達市保原町

 東北中央自動車道「相馬福島道路」(総延長四五・七キロ)は二十四日、全線開通した。国が東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの「復興支援道路」に位置付け、整備してきた。唯一の未開通区間だった伊達市の霊山インターチェンジ(IC)-伊達桑折IC間(一〇・二キロ)が開通した。浜通りと中通りを結ぶ横軸の道路として物流や人的交流、広域観光の活性化、救急搬送と災害時の緊急輸送機能の強化などが期待される。


■相馬-福島飯坂IC所要時間 半分に短縮

 同日午前十一時から、伊達桑折ICで開通式が行われた。赤羽一嘉国土交通相、平沢勝栄復興相(福島高出身)、亀岡偉民復興副大臣(衆院比例東北)、内堀雅雄知事、沿線市町村長ら関係者約五十人が出席した。午後三時半に一般通行が始まると、車両が次々と本線に乗り入れた。

 常磐自動車道に接続する相馬市の相馬ICから桑折町の桑折ジャンクション(JCT)を経て東北自動車道まで全てがつながった。相馬ICから桑折JCTまでは、全区間無料で走行できる。国土交通省福島河川国道事務所によると、全線開通で相馬ICから福島市の福島飯坂ICまでの所要時間は三十七分となり、整備前と比べて三十六分短縮される。

 全線開通は当初、二〇二〇(令和二)年度内を予定していた。二月十三日の福島県沖を震源とする最大震度6強の地震の影響で、整備中だった霊山IC-伊達桑折IC間で橋のつなぎ目の伸縮装置の補修が必要になり、延期していた。

 相馬福島道路の整備は、二〇〇四(平成十六)年四月に相馬山上IC-相馬玉野IC間(阿武隈東道路、一〇・五キロ)の事業化からスタートした。二〇一七年三月二十六日に同区間が最初に開通して以来、延伸してきた。直近では伊達桑折IC-桑折JCT間が二〇二〇年八月二日に開通した。総事業費は二千三百十五億円。

 復興支援道路の整備を巡っては、三月二十八日に岩手県宮古市と盛岡市を結ぶ宮古盛岡横断道路が全線開通し、相馬福島道路のみが残っていた。

 県内を横断する道路では、双葉町から郡山市まで続く二八八号国道が二〇二〇年十二月十日に、東京電力福島第一原発事故発生から約九年九カ月ぶりに全線で一般車両の通行が可能になった。