「震災の先の希望つくる」日彫展新人賞 橋本和成さん 二本松

2021/05/01 09:54

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仏具彫刻店の5代目として家業と創作に励む橋本さん
仏具彫刻店の5代目として家業と創作に励む橋本さん

 「震災の先の希望をつくりたい」。第五十回記念日本彫刻会展覧会(日彫展)で新人賞に輝いた二本松市竹田の木彫刻師・橋本和成さん(41)は、伝統の技術の継承と新たな表現の創造を追い求め、独自の境地を開く。受賞作「風のうた」には自由な魂が表れ、見る人の心を伸びやかにする。

 橋本仏具彫刻店の五代目。日本一の木彫りの町として知られる富山県南砺市井波で五年間修業し、帰郷して家業を継いだ。仏具制作、寺社建築の彫刻や文化財の面の修復、提灯(ちょうちん)祭りの太鼓台の修繕に取り組んでいる。県下一の消防団をたたえる福島民報社の「民報金ばれん」の制作も毎年担う。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を経て二〇一八(平成三十)年から公募展に挑戦し始めた。日彫展は初出展から三回連続で入選。日展にも入選した。今回の受賞作は女性の姿が雲のような造形と融合し、大きな翼を広げる。天空に向かう希望にも見える高さ三メートルの大作だ。二年越しで構想を練った。「風、空など形があるようでないもの、ないようであるものをイメージして彫った」と創作の心境を語る。

 日本古来の繊細な仏具彫刻の技術を受け継ぎながらも、「伝統にとどまらず、自分が何を作れるかを考えていきたい」と探究を続ける。