【東京五輪きょう開幕】逆境乗り越え活躍を(7月23日)

2021/07/23 09:29

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 東京五輪はきょう開会式を迎える。本県を出発し、新型コロナウイルスの脅威にさらされながら全国を旅した聖火が国立競技場(東京都)の聖火台にともされ、競技が本格的に始まる。本県関係では過去最多となる十七人が出場する。ほとんどの会場が無観客という異例づくしの大会となるが、選手には逆境を乗り越え、競技に挑んでほしい。

 聖火リレーは「希望の道を、つなごう」をコンセプトに、三月二十五日にJヴィレッジ(楢葉・広野町)をスタートした。約四カ月間をかけて全国四十七都道府県を巡ったが、区間短縮や公道走行の取りやめが相次いだ。北海道や大阪、福岡など計十一道府県は新型コロナ感染状況の悪化を受け、全域での公道走行を見送った。

 五輪への関心と期待を呼び起こす聖火リレー本来の役目を果たせたかといえば疑問は残る。ただ、一年延期を経て、福島発のともしびが国立競技場まで運ばれたことは感慨深く、県民の記憶と大会の歴史に深く刻まれるだろう。

 本県関係選手十七人のうち十六人が初出場で、多くが東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後の混乱を経験している。例えば、金メダルの期待がかかるバドミントン競技の桃田賢斗選手(26)は当時富岡高一年生だった。原発事故で高校のバドミントン部は猪苗代町に活動の場を移し、町内の民宿で寮生活を送りながら練習を積み重ねた。

 コロナ禍で本県でも無観客開催となり、海外選手との交流や関連イベントは次々と中止となった。県内の復興を発信する機会は失われたが、「3・11」の苦難を乗り越え、県民に元気と感動を届けようと五輪の舞台に立つ選手たちにとって「復興五輪」に変わりはない。

 双葉郡から巣立った五輪選手を応援する「双葉オリンピック選手を支援する会」は、桃田選手らにエールを送る動画を作成し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿した。会長の青木淑子元富岡高校長は「可能な限り応援の思いを届けていきたい」と話す。会場で直接、声援を送れないもどかしさがある中、こうした取り組みは選手にとって大きな励みになるはずだ。

 五十七年前の東京五輪では、マラソンで須賀川市出身の円谷幸吉、重量挙げミドル級で郡山市出身の大内仁が銅メダルを獲得し、県内は歓喜に包まれた。「あっぱれ円谷、高々と日の丸」「大内、銅メダル」。当時の福島民報が報じている。再び自国での選手の活躍を伝え、喜びを分かち合いたい。(紺野 正人)