【新総合教育計画案】さらに「福島らしさ」を(7月27日)

2021/07/27 09:28

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

 二〇二二(令和四)年度から九年間の本県の目指すべき教育の方向性を示す「第七次県総合教育計画」の中間整理案がまとまり、二十六日から県民意見を募っている。整理案の軸となっているのは「福島ならでは」や「福島らしさ」を生かした教育の充実だ。多くの県民が整理案に目を通し、意見を述べ、全国に誇れる計画に仕上げたい。

 計画は県長期総合計画の部門別計画に位置付けられる。整理案づくりは昨年六月の県総合教育計画策定に関する懇談会の初会合から始まった。本県の目指すべき教育の姿の議論を手始めに、七回の会合を重ねて整理案を練ってきた。昨年十二月には県内高校生の代表十二人によるワークショップも開催し、若者の声も反映させた。

 整理案では、育成したい人間像を「急激な社会の変化の中で、自分の人生を切り拓[ひら]くたくましさを持ち、多様な個性をいかし、対話と協働を通して、社会や地域を創造することができる人」とした。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十年が経過しても復興は道半ばにある。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大など予測困難な社会情勢の中でも、豊かな人生を歩んでほしいとの願いが込められている。

 整理案の軸となっている「福島ならでは」や「福島らしさ」を生かした教育は初めて設けられた項目だ。震災と原発事故後に育まれた人と人とのつながりや絆、復興に向けた新たな産業の創出などピンチをチャンスに変える発想が原点となっている。大切な視点と評価したい。具体例として「原子力災害の事実や教訓の発信」「健康長寿県の実現」「福島イノベーション・コースト構想を活用した課題解決」などを挙げている。

 懇談会の議論は活発で、何が福島の独自性につながるか多くの意見が出た。具体例についても「もっと整理すべき」「らしさをもっと書き込むべき」といった声が上がった。確かに、福島ならではの教育の記述には、やや物足りない感がある。一カ月間にわたって実施する県民意見の募集では、県民一人一人が考える福島らしい教育についても提案してほしい。事務局の県教育庁には、提案を丁寧にすくい上げる作業を求めたい。

 今後、県民意見の募集に加えて、八月に教育公聴会を開催し、秋には計画を決定する予定となっている。ぜひ取り組んでほしいのは、計画策定後の県外への発信だ。福島らしさを磨き上げた計画となれば、県外からも注目を集めるに違いない。(安斎康史)