【次期衆院選】どうする放射性廃棄物(7月28日)

2021/07/28 08:29

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

 衆院議員の任期満了まで三カ月を切った。県内五つの選挙区では一部で野党共闘に向けた調整が残るものの、立候補予定者の顔ぶれはほぼ固まった。各党と立候補予定者には新型コロナウイルス対策など喫緊の課題もさることながら、東京電力福島第一原発事故などに伴う放射性廃棄物の処分をいかに進めるかを改めて問いたい。

 東日本大震災と原発事故から丸十年が経過した。未曽有の事故の発生を踏まえ、この間の国政選挙で国の原子力政策の在り方はたびたび取り上げられた。ただ、総じて「原発の維持か、廃止か」といったレベルの議論に終始し、使用済み核燃料など高レベル放射性廃棄物の処分の在り方についての議論はまったく深まらなかった。

 原発を維持するにしても、廃止するにしても放射性廃棄物の処分は避けて通れない。とりわけ行き場のない使用済み核燃料を脆弱[ぜいじゃく]な施設内のプールで保管し続けることが、いかに危険かを見せつけたのが福島第一原発の事故だった。早急な対応が求められるにもかかわらず、なぜ、与野党を問わず、政治の世界では手をつけようとしないのか。

 廃炉作業が続く福島第一原発の溶融核燃料や高レベル放射性廃棄物の最終的な処理・処分方法は方向性すら決まっていない。福島第二原発でも使用済み核燃料などの行き場が決まらぬまま、廃炉作業が始まった。搬入開始から三十年以内に県外で最終処分されることになっている中間貯蔵施設の除染土壌の処分先も含め、いずれも本県の将来を左右する最重要課題であり、解決には相当の時間を要するとみられる。いつまでも先送りはできないはずだ。

 福島第一原発で発生する処理水を敷地内から海洋放出するという政府の処分方針の決定は、無為無策のままいれば、たとえ被災地であっても最終的に現場に負担が押しつけられることをまざまざと見せつけた。放射性廃棄物の処分も同じだろう。このままだと溶融核燃料を含む高レベル放射性廃棄物も除染土壌も現場保管するしかなくなるのは自明で、原発と周辺地域が「最終処分場」化する恐れがある。

 国にとっては痛くもかゆくもない話で、かえって好都合なのかもしれない。だが、復興に向けて努力を積み重ねてきた県民に受け入れられるはずはない。そうした県民の思いに各党と立候補予定者はいかに応えるのか。処理水の処分方針への見解と合わせ、政見や公約で自らの考え方を明らかにした上で選挙戦に臨むべきだ。(早川 正也)