新しい資本主義(10月10日)

2021/10/10 09:50

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 福島市の企業が大学三年生向けにオンラインで行ったインターンシップ(就業体験)で、担当社員が目を見張る場面があった。業務説明の中で、地域づくりへの貢献に話が及んだ途端、多くの学生が身を乗り出してメモを取り始めた▼気候変動や感染症、格差などへの不安が広がる中、社会課題に対する関わり方を重視して就職先を選ぶ学生が増えていると社員は感じた。最近は環境、貧困など、取り組む課題から企業を探す就活支援サイトも登場した。活動が「口先だけ」の会社も多く、サイト運営者は本気度を審査してから掲載するという▼「日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一は「経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではない」(現代語訳 論語と算盤)と説いた。富が一部に集中しやすい資本主義の危うさを見抜き、社会の役に立つことなくして企業は存在し得ないと考えた▼発足したばかりの新政権は「新しい資本主義」を掲げた。富の分配で格差を正すというが、国会で十分に吟味されることのないまま、すぐに衆院選がやって来る。志高き若い世代が力を発揮できる未来を、政治家は具体的に論じてほしい。