
衆院選の県内小選挙区に立候補した10人は31日の投票に向け激しい論戦を繰り広げている。共同通信社は19、20の両日、各選挙区の有権者に電話調査を実施した。福島民報社の取材を加味した序盤情勢は、1区では自民党の前職と立憲民主党の前職の支持が拮抗(きっこう)している。2区は自民前職が先行し立民新人が猛追、3区は立民前職がリードし自民前職が迫る。4区は立民前職と自民前職が競り合う。5区は自民前職が優勢で、共産党の新人が追う展開となっている。ただ、投票する候補者を決めていない有権者が多く、情勢はまだ流動的だ。中・終盤の戦いが勝敗を分けるとみられる。(文中敬称略。各選挙区の立候補者一覧は届け出順。丸数字は当選回数。☆は比例東北との重複立候補)
■1区 亀岡氏、金子氏の支持拮抗
小選挙区で一勝一敗同士の自民の亀岡偉民と立民の金子恵美が激しく競り合っている。
亀岡は大票田の福島市でリードし、金子は伊達地方と相馬地方で優位に立っている。
支持政党別では、亀岡は自民、公明の支持層の7割前後を固めたが、金子にも一部が流れている。金子は共産、国民、社民からも支持を得ている。
年代別では亀岡が20代以下、30代、40代で金子を上回り、金子は60代以上に支持を広げている。
■2区 根本氏先行、馬場氏が猛追
九選を目指す自民の根本匠が優位に立ち、立民の馬場雄基が激しく追っている。
根本は大票田の郡山市、二本松市などでリードするが、馬場も支持を広げている。
支持政党別では、根本は自民、公明の支持層の7割超を手堅くまとめている。馬場は立民、共産の支持層の8割を固めた。無党派層の支持はほぼ拮抗している。
年代別では根本は20代など若年層からも支持され、馬場は60代に浸透している。
■3区 玄葉氏リード、上杉氏迫る
立民の玄葉光一郎が選挙区内全体で優位に立ち、自民の上杉謙太郎が追い上げている。
玄葉は地元の田村地方、須賀川市などで安定して支持を得ている。上杉は地元の白河地方で善戦している。
支持政党別では、玄葉は立民支持層の9割弱、共産、国民の7割強から支持を集める。上杉は自民の7割、公明の6割を押さえている。
年代別では20代以下は上杉が上回った一方、30代以上は玄葉がリードしている。
■4区 小熊氏、菅家氏競り合う
立民の小熊慎司と自民の菅家一郎が四度目の当選を懸け、激戦を展開している。
小熊は喜多方市の出身で、菅家は会津若松市長を務めた。両市で互角の戦いを繰り広げており、周辺の町村部でも競り合っている。
支持政党別では、小熊が立民の8割近くを固め、共産や国民、社民にも浸透。菅家は自民、公明の7割近くをまとめた。
年代別では小熊が20代以下からの支持が厚く、菅家は30代、40代に強い。
■5区 吉野氏優勢、熊谷氏追う
自民の吉野正芳が足場を固め、共産の熊谷智に差を付けている。
吉野は地元いわき市、双葉郡と選挙区全域から厚い支持を集める。熊谷はいわき市で浸透する一方、双葉郡で伸び悩んでいる。
支持政党別で、吉野は自民の8割弱、公明の7割弱の支持を固めた。熊谷は共産の7割ほどに加え、立民、社民の支持層も取り込んでいる。
年代別では60代は支持がほぼ並んだが、他の各年代は吉野が強さを見せている。
【1区】
金子 恵美 56 ☆立民 前(2)
亀岡 偉民 66 ☆自民 前(4)
▽福島市、相馬市、南相馬市、
伊達市、伊達郡、相馬郡
▽有権者数=40万5092人
(18日現在)
【2区】
馬場 雄基 29 ☆立民 新
根本 匠 70 ☆自民 前(8)
▽郡山市、二本松市、本宮市、安達郡
▽有権者数=34万8011人(18日現在)
【3区】
上杉謙太郎 46 ☆自民 前(1)
玄葉光一郎 57 ☆立民 前(9)
▽白河市、須賀川市、田村市、岩瀬郡、西白河郡(西郷村を除く)、東白川郡、石川郡、田村郡
▽有権者数=26万4629人
(18日現在)
【4区】
小熊 慎司 53 ☆立民 前(3)
菅家 一郎 66 ☆自民 前(3)
▽会津若松市、喜多方市、南会津郡、耶麻郡、河沼郡、大沼郡、西郷村
▽有権者数=23万7712人(18日現在)
【5区】
熊谷 智 42 共産 新
吉野 正芳 73 自民 前(7)
▽いわき市、双葉郡
▽有権者数=32万934人(18日現在)
■調査の方法
共同通信社が加盟社と協力し、19~20日の2日間、全国の有権者を対象に実施した。コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で調査。コンピューターで電話をかける自動音声応答通話(オートコール)方式を採用した。携帯電話にも電話し、同意した人にショートメッセージサービス(SMS)を送って質問に答えてもらった。1選挙区当たり固定電話と携帯電話で計500サンプルを目標にし、全289選挙区で計17万4027件の回答を得た。