
福島民報社は23日から26日にかけ電話世論調査を実施し、これまでの取材も加味して福島県内5小選挙区の終盤情勢を探った。1区は自民党の前職と立憲民主党の前職が依然として横一線で、2区は自民前職が安定した戦いを続け、立民新人が追走。3区は立民前職が優位で自民前職が猛追している。4区は立民前職がやや優勢で自民前職が迫る。5区は自民前職が幅広く浸透し、共産党の新人が追う展開となっている。ただ、いずれの選挙区でも投票する候補者を決めていない有権者が多く、情勢はなお流動的な面が残る。
■1区 亀岡氏、金子氏なお横一線
三度目の対決となった自民の前職亀岡偉民と立民の前職金子恵美が依然として互角の戦いを繰り広げている情勢だ。
地区別では、亀岡が相馬地方、金子が伊達地方で優勢に戦いを進めている。大票田の福島市では接戦となっている。
支持政党別では、亀岡は自民の8割弱をまとめ、公明からの支持でも優位に立っている。金子は立民と共産の9割、社民の8割を押さえた。無党派層は4割が金子を支持している。
年代別では、亀岡が20代と40代、金子が50代と60代でそれぞれ先行している。
■2区 根本氏安定、馬場氏が追走
9選を目指す自民の前職根本匠が安定して支持を広げ、初陣で立民の新人馬場雄基が追う展開が続いている。
根本は地盤の郡山市をはじめ、二本松市などでリードしているが、馬場も郡山市などで支持を広げている。
支持政党別では、根本が自民の9割弱、公明の9割強をまとめ、立民の2割弱の支持も得ている。馬場は立民の8割弱、共産の9割弱を固め、維新、れいわ、社民にも浸透している。無党派層の支持は、ほぼ拮抗(きっこう)している。
年代別では、根本は幅広く支持され、馬場は10代、50代、60代に比較的浸透している。
■3区 玄葉氏が優位、上杉氏猛追
10選を目指す立民の前職玄葉光一郎が堅調に支持を固める一方、再選を狙う自民の前職上杉謙太郎が激しく追っている。
玄葉は序盤と同じく、地盤の田村地方でリードを保っている。上杉は地元の白河地方を中心に着実に支持を伸ばしている。
支持政党別では、玄葉は立民の9割、共産の6割を手堅くまとめている。上杉は自民の7割を固め、れいわからも支持を得ている。公明や維新の支持層や無党派層は、玄葉、上杉の両者に分かれている。
年代別では20代、50代などは玄葉、10代、30代などは上杉が強い。
■4区 小熊氏やや優勢、菅家氏迫る
立民の前職小熊慎司がわずかに先行し、自民の前職菅家一郎が詰め寄っている。2割以上の有権者が意中の候補者を決めておらず、最終盤まで競り合いが続く見通しだ。
小熊は喜多方市、会津若松市などで支持を広げている。菅家は市部で善戦しつつ、周辺の町村部を中心に票をまとめている。
支持政党別では、小熊は立民、共産の約8割をまとめ、国民、社民も取り込んだ。無党派層の5割弱に浸透している。菅家は自民の約6割を固め、公明からの支持も得ている。
年代別では小熊が30代以下、菅家が50代の支持が比較的厚い。
■5区 吉野氏浸透、熊谷氏が追う
8選を狙う自民の前職吉野正芳が広く浸透し、県内で共産初の野党統一候補の新人熊谷智が追っている。
吉野は地元のいわき市を中心に選挙区全域でリードを保っており、熊谷は伸び悩んでいる。
支持政党別では、吉野は自民と公明の約8割を固め、立民の3割強、社民の2割弱からも支持を得ている。熊谷は社民の8割強、共産の7割弱、立民の5割をまとめ、国民、れいわも取り込んでいる。無党派層は吉野が4割、熊谷が2割となっている。
年代別は吉野が全年代に浸透し、熊谷は10代と30代で比較的善戦している。
【1区】
金子 恵美 56 ☆立民 前(2)
亀岡 偉民 66 ☆自民 前(4)[公]
▽福島市、相馬市、南相馬市、伊達市、伊達郡、相馬郡
▽有権者数=40万5092人
【2区】
馬場 雄基 29 ☆立民 新
根本 匠 70 ☆自民 前(8)[公]
▽郡山市、二本松市、本宮市、安達郡
▽有権者数=34万8011人
【3区】
上杉謙太郎 46 ☆自民 前(1)[公]
玄葉光一郎 57 ☆立民 前(9)
▽白河市、須賀川市、田村市、岩瀬郡、西白河郡(西郷村は含まない)、東白川郡、石川郡、田村郡
▽有権者数=26万4629人
【4区】
小熊 慎司 53 ☆立民 前(3)
菅家 一郎 66 ☆自民 前(3)[公]
▽会津若松市、喜多方市、南会津郡、耶麻郡、河沼郡、大沼郡、西郷村
▽有権者数=23万7712人
【5区】
熊谷 智 42 共産 新
吉野 正芳 73 自民 前(7)[公]
▽いわき市、双葉郡
▽有権者数=32万934人
各選挙区とも届け出順。丸数字は当選回数。☆は比例東北との重複立候補。四角枠は政党本部の推薦。有権者数は18日現在。
■調査方法
23日から26日にかけ、県内の1、2、3、4、5区の有権者を対象にRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。コンピューターで無作為に発生させた電話番号にダイヤルする調査方法で、電話帳に電話番号を載せていない人も対象となる。2017人から回答を得た。