サケの採卵、ふ化事業 福島・富岡川で11年ぶり再開

2021/11/06 11:02

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完成したふ化施設で採卵したサケの卵を受精させる組合員ら
完成したふ化施設で採卵したサケの卵を受精させる組合員ら

 福島県富岡町が町内本岡に整備を進めていたサケふ化施設が5日までに完成し、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から11年ぶりに、富岡川でのサケの採卵、ふ化事業が再開した。富岡川漁協の組合員らは5日、事業再開の喜びをかみしめ、作業に取り組んだ。

 組合員が、富岡川のやな場で捕獲したばかりの雌のサケの腹をナイフで割くと、鮮やかなオレンジ色の卵があふれ出した。採卵した卵に雄の精子を掛けて受精させ、約1万2000粒を受精卵にした。

 同漁協では、震災による津波で富岡川河口付近にあったふ化施設が全壊した。伝統のサケ漁を再興させようと、町が川の上流部に、約150万粒の卵を飼育できるふ化施設の整備を進めてきた。

 今季は全国的な不漁の影響で、5日までに捕れたサケは20匹程度。同漁協では12月中旬ごろまで採卵の作業を行い、来年3月には約25万匹の放流を目指す。

 同漁協によると、震災前、富岡川では毎年約1000匹のサケの漁獲があったという。猪狩弘道組合長(78)は「ふ化事業が再開でき感無量だ。昔のように多くのサケが遡上(そじょう)する富岡川に戻し、漁を本格復活させたい」と決意を語った。