
政府と大熊町は16日、東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域のうち、来年春の避難指示解除を目指す特定復興再生拠点区域(復興拠点)で12月3日に住民の準備宿泊を開始することを決めた。吉田淳町長が町議会全員協議会に説明し、了承された。復興拠点の準備宿泊の開始決定は初めて。
対象地域は、原発事故前まで町の中心部だったJR常磐線大野駅周辺の下野上地区など約860ヘクタール。かつての町人口の半分、約2200世帯約6000人が住んでいた。町によると、既に家屋を解体した住民も多く、準備宿泊の希望世帯は100世帯未満になる見通し。
復興拠点のうち約630ヘクタールは既に、避難指示の解除や立ち入り規制が緩和されている。残る約230ヘクタールの立ち入り規制も今月30日午前9時に緩和し、申請なしに入域可能となる。
吉田町長は「事故前の町中心部で宿泊できるようになるのは大きな一歩。戻ってきたい町民がいる限り、環境を整えるがわれわれの責務だ」と語った。
準備宿泊は本来、避難指示区域内で禁止されている自宅での宿泊を特例的に可能にする制度。希望者は今月24日から受け付けるコールセンターで事前登録が必要になる。