論説

【岩瀬農高生の挑戦】新たな伝統を築け(11月27日)

2021/11/27 09:38

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 鏡石町の岩瀬農高は生徒が栽培した農産物十八品目で生産管理の国際認証制度「グローバルGAP」を取得し、品目数で高校日本一を誇る。畜産の三部門では国内版の「JGAP」を取得し、さらに今年度、農産物十六品目で県独自の「FGAP」の取得も目指している。生徒が続ける挑戦は、農業や関連産業の担い手としての技術と知識を確実に高めている。

 グローバルGAPを取得したのはコメ、キュウリ、リンゴ、レタス、サツマイモ、ナシなど。主に二、三年生が携わっている。認証審査の項目は作業者の安全・衛生面の管理、土壌・水質検査、作業工程の記録などがあり、JGAPより多い約二百二十に上る。同校は二〇一八(平成三十)年十一月に六品目で県内の県立学校として初めて認証を受け、翌年には計十一品目で取得。昨年、計十八品目に達した。取得した品目は一年ごとに審査を受け、認証が更新される。

 取得に向けての活動を加速させたきっかけは二〇一八年九月に生徒が海外研修を行った際、オランダの農業学校で受けた言葉だった。県産農産物の印象を尋ねると「危険な食べ物」との答えが返ってきた。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による県産農産物の風評を払拭[ふっしょく]するため、既に同年春にグローバルGAP取得への取り組みを始めていたが、一日でも早く取得しなければ-との思いを一層強めた。

 認証取得は復興に向けて歩み続ける県内の姿や県産食材の安全性をアピールするため有効な手段となった。今夏の東京五輪開催中、三年生が笑顔で農産物を持つポスターが復興庁によってJR山手線車内に中づり掲示され、選手村の食堂にも飾られた。生徒の学習意欲も増し、先輩の活動を受け継いで認証の更新を続ける思いが強いという。

 同校は認証を踏まえて海外に目を向けた教育に力を入れていく。グローバルGAP認証の農産物を使った加工品を開発し、将来は輸出も目指す。今後は、いかに販路を拡大していくかが課題になるとみている。

 自宅が農家ではない生徒が農業への関心を高め、就農を希望する事例も出ている。その熱意を生かし、身に付けた技術や知識を十分に反映できる就農・就職の場を増やすことも大切だ。そのためには行政やJAなど関連団体の手厚いサポートが求められる。生徒の取り組みは学校の新たな伝統を築く。ひいては地域全体のブランド力の向上にもつながる。(川原田秀樹)