ポケモンの古里(11月30日)

2021/11/30 09:17

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 静寂に包まれた暗闇の中で、少年のズボンがほのかに点滅する。捕まえたホタルがポケットの中で光を放っていた。東京都町田市の田尻智さんは父の古里・浪江町を訪れ、自然の中を走り回って昆虫を捕まえた▼大堀地区にあった旧家の敷地内には、小さな川が流れ、水車が回っていた。幼少期の体験が田尻さんを、後に世界中の子どもを夢中にさせるゲームのクリエーターに成長させた。父、義雄さんの自分史「生きがいと働きがい」に、智さんの少年の頃の写真がエピソードとともにつづられている▼ゲームでは、ボールから光線が放たれ、ポケットモンスター(ポケモン)と呼ばれる架空の生き物が現れる。多彩な種類と愛くるしい姿がファンの心をつかむ。運営会社は「ラッキー」という名のキャラクターを福島応援隊に選び、県と連携企画を繰り広げてきた▼ラッキーの姿をかたどった、かわいらしい複合遊具や滑り台などを備えた公園が来月十二日、浪江町の道の駅なみえに全国で初めて開園する。数十年前、一人の少年が見つけた光はその後、世界中に広がり、多くの子どもたちを笑顔にしてきた。時を経て、再びポケモンゆかりの地で輝き始める。